――年度をまたいだ休校中の学習法でオススメはありますか。

「この機会に、ちょっと苦手な科目に重点を置いて復習してほしい。おもに小学校高学年から高校生向けの学習法としては、苦手科目の問題集を1、2学年さかのぼってもいいから頑張って解いてみてほしい。間違った問題の横には×印をつけ、解答をよく読んで、時間をおいて解き直す。できなかったらまた×印をつけて解答を読み、最終的にできたら○印をつける。できなかったものができるようになるのが学びだから、×印がついてからが本番だ」
「問題集は自分で半分くらい解けるレベルのものが1冊あればいい。それを使い古していく。難関校と呼ばれる学校に合格する生徒は、だいたい同じやり方をしている」

――苦手科目の復習が一通り終わったら。
「そこまできたら、学年に関係なく好きな分野を学べばいいと思う。生物や化学の資料をみまくってもいいし、たくさん小説を読んでもいい。デジタル機器を使える環境があるなら、電子書籍や資料画像を見る道具としてどんどん使っていいと思う。ただ画面の見過ぎで視力が低下したり、姿勢が悪くなったりすることもあるので、そこは軽く考えず、気をつけてほしい」
「かっこいい大人」になる
――学校の先生へのアドバイスはありますか。
「そもそも先生は子どもに会いたいから先生になっているので、今ほどつらいときはそうないだろう。こういうときだからこそ、伝えたい思いもたくさんあると思う。オンラインの遠隔授業でも、プリント郵送でも、個別の電話でもいい。『あなたたちを本当に大切に思っている』『あなたたちが次の社会を担えるよう私たちも頑張る』といったメッセージを子どもたちに送ってもらえたらと思う」
「子どもたちには、頑張っている大人たちを目に焼きつけてほしい。今は大人たちの手が、なかなか子どもに回っていない状況にみえるかもしれないけれど、広い意味では、たくさんの大人が子どもという宝物を必死に守ろうとしている。子どもたちにはいつか、そんな『かっこいい大人』になってもらいたい」
1977年、兵庫県生まれ。東大教育学部卒、京大院人間・環境学研究科博士後期課程修了、博士号(人間・環境学)取得。2004年に母校の灘中・高で社会科教諭となり、14年3月退職。同4月に一般社団法人ふくしま学びのネットワーク(福島市)を設立し、事務局長に就任。18年から福島大特任准教授も兼務。高校生向け無料セミナーや社会活動コンテストなどを通じ、原発事故の被災県の子どもを支援し続けている。
(聞き手は天野豊文)