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ワインにカレー インド料理バルはテークアウトも充実

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東京都中野区の新井薬師参道沿いに今年1月、ユニークな店がオープンした。「マロロガバワン」――インド料理とワインをテーマとした「インド料理バル」だ。店主は、インド料理の店で約15年研さんを積んだ礒辺和敬さん。メニューには、各種カレーが並ぶのはもちろん、スパイスが効いた唐揚げをはじめおつまみ類もずらり。看板料理の一つは、鶏ひき肉を使ったドライカレーの一種、キーマカレーだが、同店では食事としてではなくつまみにこれをオーダーする人も多い。肉の味わいが濃い粗びき肉を使い、辛さは抑えめながら複雑なスパイスの味が広がる。ワインとも好相性の一品だ。

礒辺さんとインドカレーとの出合いは、小学生のとき。東京・麹町の老舗インド料理店「アジャンタ」で修業した料理人の店でキーマカレーを食べたのだ。それまで、日本流のルーを使ったカレーしか食べたことのなかった礒辺さん。「カレーかどうかより、こんな料理があるんだと驚いた」と言う。以来、毎年誕生日には必ず親に「あそこのキーマカレーが食べたい!」とねだるほど、ハマったそうだ。

20歳前後から食べ歩きをするようになり、インド料理店を訪ね歩いた。「小学生のときに初めて食べたお店はなくなってしまったので、『あの』キーマカレーに似た味を捜し歩いていたのかも」と振り返る。だが、どの店も記憶のキーマカレーより汁気が多く、食べたい料理とは異なった。そうした中、出合ったのが東京・高幡不動の名店「インド食堂アンジュナ」。出されたカレーの味は、記憶の料理に重なった。実は同店のシェフはやはり「アジャンタ」で修業経験があった。礒辺さんの口から迷わず出たのは、「ここで働かせてください」という一言だった。

それまで、イタリア料理店の厨房などで働いた経験があった礒辺さん。インド料理の世界には、すんなりなじんだという。「イタリア料理とインド料理って似ているんです。例えば、イタリアンはよく最初の調理工程でニンニクの香りを油に移すでしょう? インド料理ではスパイスの香りを油に移します。工程の基本が一緒なんです」

これまでの経験になく、興味をかき立てられたのがスパイス使いだ。「インド料理は、方程式がきっちり決まっているわけではありません。インドのレシピ本を見ても、スパイスの量をしっかりグラムで示しているようなものはほとんどない。スプーンで山盛り2杯半とか、指3本で1つまみとか、料理を感覚で作るようなところがあるんです」。学生時代には、実験が好きで理系科目が得意だった礒辺さん。スパイスの配合や特徴を徐々に自分の体で覚えていく感覚が面白かったという。

「アンジュナ」に7、8年勤め、そろそろ独立しようかと考えたとき、礒辺さんに新たな巡り合いが訪れる。現在南インド料理の人気店「エリックサウス」を展開する円相フードサービス(岐阜県各務原市)との出合いだ。

「『アンジュナ』を辞めてから、まずは自転車で日本1周の旅に出たんです。岐阜に寄った際、たまたま円相フードサービスのお店に入ったら、南インドの定食であるミールスが置いてあった。今のように一般には知られていない頃で、どうしてこんな料理がお店のメニューにあるんだろうと不思議に思って。食べてみたらおいしくて、お店の方に話をしたら、今度東京駅に南インド料理の『エリックサウス』という店がオープンするんですと言う。それがきっかけで、同社に勤めるようになりました」(礒辺さん)。企業として飲食店を多店舗展開する同社で、店の経営について学びたいと考えたのだ。

同社に入社してからは、「独立します」と毎年面接で言い続けた礒辺さん。「エリックサウス」の系列店が増える中、これらを統括するポジションにも就いたが、「僕はどうしても現場に入ってしまって、マネジメントの仕事は向いてなかった」と笑う。そして39歳で次なる一歩「マロロガバワン」開店へと踏み出した。

「飲み屋をやりたい」――。作りたい店のイメージは、「アンジュナ」で働き始める前から決まっていた。頭に描いた店は、地元客に愛され、生活の一部になるような店だ。「わざわざ食べに行くのではなく、コミュニティーに溶け込んだ店をやりたかった」。最寄りの駅からは距離があるが、住宅街に囲まれ地元客が多い新井薬師参道という場所を選んだのもそのためだ。

五差路の角地にある同店。「交差点で信号待ちの近所の人がみんな挨拶してくれて、話しかけてくれる。それだけでもうれしい」と礒辺さんは言う。「うちの店では、カレーをメインに食事だけのお客様もいますが、おつまみの盛り合わせだけでじっくりワインを楽しまれる方もいる。お客様が自分の好きなように使っていただける店にしたかったんです」

「ご近所の気軽な店」だから、基本的に凝ったメニュー名は付けない。南インドで料理を食べ歩いた経験も持つ礒辺さんだが、「近所で食べるカレーなら、例えばインドのどの州のカレーかなどという小難しいメニュー名は面倒なだけ。シンプルに『チキンカレー』と書いた方がいい」と考える。テークアウトも開店当初から手掛けるが、理由はやはり「気軽な店にしたいから」。テークアウトができれば、店が混んでいても待たずに自宅でゆっくり食べられる。店での飲食が難しい小さな子どもを持つ家庭にとっても便利だ。3月からは、近隣でテレワークをする人が増え、毎日のように店を訪れる「テレワーク客」が少なくないという。

礒辺さんは、テークアウトも店の中で食べる料理も同じように全力で取り組む。「余裕があるときは、持ち帰った料理を温め直すかをお客様に伺ったりします。電子レンジでチンしますと言われたら、温め直したときにちょうどおいしくなるよう肉の火入れの具合を変える。テークアウト料理も本気なんです」

同店は3月末から、新型コロナウイルス対策としてテークアウトのみの営業に切り替えた。人々が長い在宅時間を強いられる中、「うちができることは、お客様の家の食事を楽しいものにすること。それが今必要だし、今後のお店の信用にもつながる」(礒辺さん)。

開店当初はカレーと唐揚げのみだったテークアウトメニューには現在、店内提供のみだったディナーメニューの多くをラインアップする。「こんな状況でもコミュニティーとつながり、ご近所の食卓を楽しいものにするという、うちがやりたい店はできている」と磯辺さんの言葉は力強い。やがて訪れる店内営業再開時、笑顔いっぱいの地元の人々でにぎわう店の姿が、今から目に浮かぶようだ。

(フリーライター メレンダ千春)

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