こんにちは、法政大学キャリアデザイン学部教授の田中研之輔です。
新型コロナウイルスの影響で、働き方は急速に変わっていますね。コロナ危機の以前から、すでに働き方改革や脱・一括採用の動きで、日本型雇用というものは崩れつつありました。それが今後はより一層、早く進む可能性があります。ところで学生の皆さんは、その日本型雇用の「三種の神器」って知っていますか? 「終身雇用」と「年功賃金」については聞いたことがあると思います。もう一つは何でしょうか?
答えは「企業別組合」です。それが今回のテーマです。
「企業別組合」とは、企業に所属する従業員によって形成される労働組合のことです。労働組合法により、企業別組合の運営や活動が保障されているので、労働条件の改善や賃金交渉などもできるのです。
就活に関係があるのか?と思いますよね。就活生にとって一番遠いところにあるのが、「企業別組合」といっても過言ではないでしょう。
しかし賃金交渉のイメージの強かった、組合の仕事も変わってきています。最近の働き方改革のなかで、組織や制度をも動かしていける仕事になってきているのです。先駆的な取り組みをしている「企業別組合」の話を通じて学生の皆さんに、働き方の変化や働きがいについて、普段とは少し違った角度から考えてもらいたいと思います。
お話を伺ったのは、三井物産労働組合で働く太田友典さん、葛西信太郎さん、高橋絵里香さんです。三井物産労働組合は1962年に設立。2015年には、従業員全員が組合に加入する「ユニオンショップ制」を導入し、新生・三井物産労働組合が立ち上がりました。この新生・三井物産労働組合で、「みんなで創る、未来の会社」をスローガンに、新たな取り組みを始めているのが、太田さん、葛西さん、高橋さんたちです。
ここからは3人のインタビューをもとにまとめています。新生・三井物産労働組合で取り組んでいること、働きがいや学生へのメッセージについて伺いました。
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――学生には、そもそも商社というビジネスモデルが、わかりにくいかもしれません。まずは商社で働く魅力について教えてください。
葛西 2点あると思います。1点目は、様々な業界の様々な立ち位置で、自分の強みを生かした活躍の機会に恵まれているということです。総合商社は、あらゆる業界や国にまたがる仕事を手掛けていて、それらを俯瞰(ふかん)し、重要な部分に最大のリソースを投下できるように常に変革を続けている企業体です。
2点目は、社内外での学びの機会が多く、制度も充実しているという点です。新入社員には全員メンターがつき、1年間ビジネスの現場でのフィードバックを行います。数年単位で部門を異動しながら幅広い経験を積みつつ、専門性を身につけていくこともできます。また、研修制度も充実していて、海外研修制度やMBA留学制度といった海外で学ぶ制度や社内研修プログラムではファイナンス、アカウンティングなどを学ぶことも可能です。