鳥の気分で絶景パチリ ドローン、気軽な撮影場所拡大

ドローンが飛行可能な海岸で角島と海をバックに自分を撮影した(山口県下関市)
ドローンが飛行可能な海岸で角島と海をバックに自分を撮影した(山口県下関市)

空から写真や動画の撮影が楽しめるドローン(小型無人機)。撮影映像をメディアなどで目にする機会は多いが、実際に初心者が操縦や撮影を体験できる場所はあるのか。都会では新型コロナウイルスへの対応で外出もままならないこのごろだが、事態が好転すれば、本来の楽しみ方ができるだろう。

「ドローンの魅力は世界が違って見え、それを映像に記録できること」。ドローンメーカー最大手DJIの日本法人DJI JAPAN(東京・港)コンシューマーマーケティングディレクターの川中良之さんはそう話し、「写真や動画撮影をしようという人だけでなく、旅行の思い出を撮影したい人も使っている」と続けた。

屋内飛行場の練習で飛ばしたDJIの Mavic Mini

ただ、ドローンには航空法や自治体の条例による規制があり、どこでも飛ばせるわけではない。「安心して空撮が楽しめる場所を知りたい」とのニーズに応えようと、DJI JAPANは、飛行可能エリア開拓に取り組んでいる。

具体的には自治体と提携し、ルールを定めて楽しめるエリアを設けている。神奈川県葉山町や浜松市に飛行可能エリアを設定。空撮目的の旅行を「ソラタビ」と名付け、ホームページで紹介している。川中さんは「空撮で地上からは分からない魅力のある場所も見つかる。新しい形の観光促進につなげたい」と言葉に力を込める。提携自治体を増やし、7月をめどに飛行可能エリアを集約したポータルサイトを立ち上げる予定だ。

無料入門講座もある屋内飛行場のDJI ARENA by JDRONE TOKYO(東京都葛飾区)

屋内で初心者が手軽にドローンを体験できる施設もある。今は新型コロナウイルス対応で休業に入っているが、東京・葛飾にある「DJI ARENA by JDRONE TOKYO」はドローン専用の屋内飛行場だ。天井までの高さは最大約9メートルある。初心者向けのベーシックエリアは幅約8.5メートル、奥行き約15メートル、アドバンスエリアは幅約9.5メートル、奥行き約22メートルで発光ダイオード(LED)で光るゲートも設置されている。ベーシックエリアは、平日30分800円(税別)から利用が可能だ。

機体貸し出しもしているので、購入前にお試しができる。「家電量販店の紹介で来る人もいる」とJDRONE(東京・新宿)の桜井拓摩さん。

参加費無料で、初心者向けの入門講座も用意している。航空法など法規制について10分ほど学習した後、実際にドローンを飛ばす。機体の電源の入れ方から実際の操縦まで体験できる。参加者からは「思ったより簡単」「ホバリングするので操縦が楽」などの意見が多いという。

実際にドローンを飛ばし、景色を空撮したくなった。インターネット検索でたどり着いたのは山口県下関市の角島。コバルトブルーの海と真っすぐに伸びる角島大橋のコントラストが「インスタ映えする」と話題の観光地でもある。角島の対岸で1棟貸しのゲストハウスを運営する海耕舎の宿泊者向け「ドローン体験」に参加した。

まずスタッフの指導のもと、海岸沿いで操縦練習。コントローラーにスマートフォンを接続し、画面で映像をチェックしながら飛ばした。左右のスティックで上下移動、左右旋回、その場回転を操作する。空中で自動静止するホバリング機能があるので、飛ばすこと自体は難しくないが、思った位置に移動させるのに苦戦。スティックを動かしすぎて突然上昇したり、前後左右が分からなくなったり。

しばらく操縦し、ゆっくりなら思った方向に動かせるようになった段階で撮影をスタート。目標はコバルトブルーの海と白い砂浜、背後に角島大橋という風景の中に、自分が操縦する姿を納めること。

ドローンの位置はもちろん、カメラの角度や、逆光にならないよう太陽の位置にも気を使う。スタッフの助けを借りながら撮影した動画には、必死で操縦する自分の姿が納まっていた。自分の操縦で、通常なら見られない高さや角度から景色を撮影できることが何より楽しかった。

海耕舎の新名文博社長は「ドローンを飛ばすと、自然と人が集まる。鳥の目線が体験できるのはもちろん、無線操縦の楽しみもあり、子供も大人も楽しめる」と説明していた。

(ライター 李 香)

[日本経済新聞夕刊2020年4月18日付]

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