都会の超進学校・筑駒 なんでコメ作りをガチで体験?筑波大学附属駒場中学・高校(中) 教育ジャーナリスト・おおたとしまさ

人間は最後は自然に負ける

数年前、田植えの実習を見学したことがある。学校からケルネル田んぼへと出発する前に、教員から生徒たちに伝えていた3つの注意事項がいまでも記憶に残っている。

「1つめ。学校と水田の間の移動経路を泥で汚さないように。2つめ。苗が主役です。キミたちが主役ではありません。ついでに言っておきますが、人間は地球上では威張っていますが、最後は自然に負けます。3つめ。地下足袋はきょう中に家に持ち帰ってください。学校の中に放置すると、そこからいろいろなものが生えます。もういちど言います。人間は地球上で威張っていますが、最後は自然に負けます」

すばらしい注意事項だと思った。筑駒生たちは冗談半分にこれを聞くが、いずれその言葉の重みに気づくのだろう(この記事の執筆時点で新型コロナ禍は想定していなかった。その意味では「負け」てはいけないのだが、「打ち勝つ」というのもちょっと違うと思う)。都会の街を泥んこになって意気揚々と歩く筑駒生たちを見て思う。その泥臭さはきっと人生の財産になる。忘れないでほしい。

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筑波大学附属駒場中学・高等学校(東京・世田谷)
創立は1947年。1学年160人だが、毎年100人前後の東大合格者を出し、東大合格率の高さでは圧倒的な強さを誇る。2019年の東大合格者数は119人。東大・京大・国公立大学医学部合格者数の直近5年間(2015~2019年)平均は127.6人で全国9位。卒業生には、参院議員の小池晃氏、東京大学付属病院元院長の門脇孝氏、みずほフィナンシャルグループ元会長の塚本隆史氏、JR東日本会長の冨田哲郎氏、経営共創基盤代表取締役CEOの冨山和彦氏、演出家の野田秀樹氏などがいる。

新・男子校という選択 (日経プレミア)

著者 : おおたとしまさ
出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 935円 (税込み)

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