お笑いコンビ「かが屋」 ノルマは毎月コント100個
「お笑い第7世代」の1組として注目され、日常の1コマを題材にしたコントを得意とするかが屋。昨年はコント日本一決定戦の『キングオブコント』で初のファイナリスト入りを果たし、結果こそ6位に終わったが、審査員の設楽統(バナナマン)がその日の最高得点を付けるなど実力を知らしめた。
2人の活躍はネタ番組だけにとどまらない。バラエティー番組『THE突破ファイル』(日本テレビ系)の再現VTRに出演すると、その演技に吉田鋼太郎が太鼓判。昨年10月に「グランメゾン東京」で、地上波ドラマ出演も果たしている。
岡山出身の加賀と広島出身の賀屋の出会いは2013年の12月。都内のアルバイト先の忘年会だった。賀屋は「当時は大学生で、夜勤のコンビニバイトをしていて、就活せずに放送作家になるのもいいなと思っていたんです。あるとき、店長から『芸人になりたい人が入ってきた』と聞いて、シフトは違うけど忘年会をセッティングしてもらえることになって。お笑いが好きな人に会えると思ったら、うれしくてウキウキでした」と語る。
一方、友人に誘われて大阪のNSC(吉本総合芸能学院)に入ったものの、友人が入学を取りやめるなど不運が続き、その後上京して芸人を目指していた加賀。忘年会で賀屋から話しかけられたときを振り返り「向かってくる圧力がすごかったんで、あんまり関わらないほうがいいかなと思っていた」と笑う。やがて加賀がピン芸人日本一決定戦の「R-1ぐらんぷり」に出場するため、賀屋にネタを見せるなどしているうちに、いつしかコンビとして行動を共にするようになった。
養成所に通わずに芸能事務所に入るべく活動を始めた2人は「芸人の数が少なく、入れたらカッコいい」(賀屋)、「先輩もカッコいい」(加賀)といった理由でマセキ芸能社のオーディションに狙いを定める。同社の新人発掘ライブに出演し続けて約1年後に認められ、15年4月に晴れて所属となった。
日常にあるささいな出来事をネタにすることが多いのは、「小さい笑いがもともと好きなのと、たくさんネタを作りたくて、毎月100個のシチュエーションを考えるのをノルマにしていたから。そうすると事件ばかりを書いていられなくて、おのずと設定が小さくなるんです」(加賀)と説明する。「ボケてもいないし、ツッコんでもいないと言われることもありますが、そういう笑いをやりたくて。僕らのコントを良く言ってくれる人がいるのはラッキーです」(賀屋)
「お笑い第7世代」としてくくられることに対しては感謝しているという。「能力以上のオファーが来ているのは、絶対にこのくくりのおかげ」と加賀。賀屋も「このくくりがなかったら、今の仕事の半分以上はなかったかも。それぐらい助けられてます」と同調する。
徐々に知名度が高まってきた今、何を目標にしているのか。「単独ライブが大本命の仕事だと思っているので、面白いネタを作り続けたい」と加賀。賀屋は「まだ先のことまで考えられない状態なんです(笑)」と補足した。
これからもコントを大事にしていきたいという2人。新世代ならではのフレッシュな感性でお笑い界を発展させてくれそうだ。
(日経エンタテインメント!4月号の記事を再構成 文/遠藤敏文 写真/星野耕作)
[日経MJ2020年4月17日付]
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