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働き盛りの女性をがんから守る 早期発見へ企業動く

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女性特有の病気について、企業がサポートを強化している。組織の中核を担う女性が増え、従来のように本人が不本意に退職したり、能力が発揮できなかったりするケースを減らすためだ。医療費負担が減る成果を出した企業もある。

アフラックコンタクトセンター統括部課長代理の井原幸さん(仮名)は、双子を出産後、42歳で乳がんの診断を受けた。そのときは初期の段階で、手術後、約2カ月で職場復帰した。しかしホルモン剤治療の副作用で体調を崩し、半年で再び休業。育児に加え実母の介護も重なっていた。

当時、職場ではプロジェクトを導く立場で、以前と同じペースで働こうと焦って無理をしていた。「病気で休んでしまって申し訳ない気持ちになっていた。周囲に協力を頼めず抱え込んでしまった」。約1年の休職後、元の職場に復帰。治療や介護を続けやすいように今の仕事に転換し、通院しながら勤務している。

女性は男性に比べ、働き盛りの時期にがんを患いやすい。厚生労働省「患者調査」(2017年度)では女性のがん患者数は30代で男性の約2.4倍、40代で約2.6倍。国立がん研究センターの調査で子宮頸(けい)がんにかかった人は30~40代がピークで、乳がんは40代に多い。第一生命経済研究所の北村安樹子主任研究員は「管理職として新たな職務を担うなど、女性のキャリアデザインで重要な時期と重なる」と指摘する。

企業も手を打ち始めた。コニカミノルタは女性社員ががん検診を受けやすくすることにここ数年、注力する。「女性も男性も平均年齢は同じ40代半ばで、大事な戦力だから」とコニカミノルタ人事部健康管理グループの鈴田朗リーダーは説明する。「早期発見を促すことは、将来的に長期の治療で休む人を減らせる。早く治療を始められれば本人は仕事と生活を維持しやすく、会社は女性活躍推進のベースがつくれる」と狙いを話す。

当初、検診受診率が上がらないことに悩んだ。受診しない理由を聞くと「場所が不便」「時間が取れない」との声が出た。こうした不都合を解消するため、定期健診の時期に巡回型検診車を自社の主要拠点に待機させ、マンモグラフィー(乳房エックス線撮影検査)や超音波検査と子宮頸がんの検診機会を増やした。

取り組み始めた13年度に比べ、18年度の受診率は乳がんは66.3%と19.8ポイント上昇。子宮頸がんは41.4%と21.6ポイント高まった。19年度以降は受診時間を勤務時間扱いとし、さらに向上を図る。

すると医療費に変化が表れた。以前は、社員の部位別ガンの検診受診率が高かったのは男性に多い肺、胃、大腸がんで乳、子宮がんの婦人科がんは低かった。しかし、100万円以上の高額医療費比率を見ると、肺、胃、大腸がんより、婦人科がんの比率が高かった。結果、女性は全体の2割なのに、医療費では婦人科がんが1割を占めていた。

それが巡回型検診車の導入などにより、乳がんと子宮頸がんにかかる年間医療費は18年度に13年度より約6割減った。同時に男性の受診も増えたため、胃がん、肺がんなどを含め医療費全体が3割減ったという。「早期発見の遅れが、医療費に反映されていた」(鈴田さん)とみている。

健康保険組合連合会の調査では、健保連に加盟する組合の総医療費におけるがんの割合は1割程度を占めるという。組合の財政悪化の一因となっている。健保組合に詳しい大和総研の内山和紀主任コンサルタントは「医療費を抑える早期発見は、健保財政の健全化にも有効」と指摘する。

女性の健康意識の向上を図る企業もある。「充実した仕事ができていますか? プライベートな時間を楽しめていますか? 笑顔で毎日を過ごせていますか?」――。日本航空が18年に発行し、女性社員に配る32ページの冊子「ウィメンズヘルスガイド」は、健診の大切さなどを訴えかける。健診での視力や血圧の数値、歯科や婦人科の検診受診日など3年間の記録を書き込め、女性特有の不調や疾病、症状を20~30代、40代以上に分けてアドバイスしている。

同社は20年度までの中期経営計画に社員の健康を掲げる。「グループ社員の半数近い女性の活躍は未来につながる。健康意識の向上と婦人科検診の機会を拡充することは、経営としては最重要課題」(健康管理部の黒川隆一部長)

「女性は30代からホルモンバランスの変化による婦人科系の疾患リスクが始まるが、仕事や育児で忙しかったり、知識がなかったりで検診を受けていないケースも少なからずある」と黒川部長。羽田空港では専用施設で年間150回の受診機会があるが「受診者が少ない。意識を高める必要がある」(同社)と話す。

女性の就業者が3000万人を超え、全体に占める割合も44%に高まった今。女性社員の健康を支えることは、その能力を最大限に引き出し経営に生かすためにも、企業にとって重要な課題になった。

早期発見 自治体検診も勧めて ~取材を終えて~

国立がん研究センターによるとがん患者の3割が働く世代で発症している。生涯でみれば2人に1人が罹患(りかん)する「身近」な病。「まずは健康が基本。元気で生き生きと働いていただくこと」。取材した企業の担当者は全員、こう切り出した。最初は当たり前のように思ったが、取材を進めていくうち言葉の重みが増していった。

自分自身はがんの経験はないが、がんに限ってはとにかく早期の発見が将来の快復へのカギになる。定期健診の大切さも、改めて認識した。医療費の負担が難しい企業はどうすればいいのか。大和総研の内山和紀主任コンサルタントは「健康保険組合で負担できないときは、自治体のがん検診の利用を従業員に勧めてほしい。小さな取り組みで社員の健康を維持できる」と話している。

(杉山麻衣子)

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