働き盛りの女性をがんから守る 早期発見へ企業動く

2020/4/21
写真はイメージ=PIXTA
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女性特有の病気について、企業がサポートを強化している。組織の中核を担う女性が増え、従来のように本人が不本意に退職したり、能力が発揮できなかったりするケースを減らすためだ。医療費負担が減る成果を出した企業もある。

アフラックコンタクトセンター統括部課長代理の井原幸さん(仮名)は、双子を出産後、42歳で乳がんの診断を受けた。そのときは初期の段階で、手術後、約2カ月で職場復帰した。しかしホルモン剤治療の副作用で体調を崩し、半年で再び休業。育児に加え実母の介護も重なっていた。

当時、職場ではプロジェクトを導く立場で、以前と同じペースで働こうと焦って無理をしていた。「病気で休んでしまって申し訳ない気持ちになっていた。周囲に協力を頼めず抱え込んでしまった」。約1年の休職後、元の職場に復帰。治療や介護を続けやすいように今の仕事に転換し、通院しながら勤務している。

女性は男性に比べ、働き盛りの時期にがんを患いやすい。厚生労働省「患者調査」(2017年度)では女性のがん患者数は30代で男性の約2.4倍、40代で約2.6倍。国立がん研究センターの調査で子宮頸(けい)がんにかかった人は30~40代がピークで、乳がんは40代に多い。第一生命経済研究所の北村安樹子主任研究員は「管理職として新たな職務を担うなど、女性のキャリアデザインで重要な時期と重なる」と指摘する。

企業も手を打ち始めた。コニカミノルタは女性社員ががん検診を受けやすくすることにここ数年、注力する。「女性も男性も平均年齢は同じ40代半ばで、大事な戦力だから」とコニカミノルタ人事部健康管理グループの鈴田朗リーダーは説明する。「早期発見を促すことは、将来的に長期の治療で休む人を減らせる。早く治療を始められれば本人は仕事と生活を維持しやすく、会社は女性活躍推進のベースがつくれる」と狙いを話す。

当初、検診受診率が上がらないことに悩んだ。受診しない理由を聞くと「場所が不便」「時間が取れない」との声が出た。こうした不都合を解消するため、定期健診の時期に巡回型検診車を自社の主要拠点に待機させ、マンモグラフィー(乳房エックス線撮影検査)や超音波検査と子宮頸がんの検診機会を増やした。

取り組み始めた13年度に比べ、18年度の受診率は乳がんは66.3%と19.8ポイント上昇。子宮頸がんは41.4%と21.6ポイント高まった。19年度以降は受診時間を勤務時間扱いとし、さらに向上を図る。

すると医療費に変化が表れた。以前は、社員の部位別ガンの検診受診率が高かったのは男性に多い肺、胃、大腸がんで乳、子宮がんの婦人科がんは低かった。しかし、100万円以上の高額医療費比率を見ると、肺、胃、大腸がんより、婦人科がんの比率が高かった。結果、女性は全体の2割なのに、医療費では婦人科がんが1割を占めていた。

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