家ごもりでストレス増大 産業医がやわらげ方を助言産業医・精神科専門医 植田尚樹氏

これまでは、夫なら夫、妻なら妻、それぞれが場所や時間をすみ分けることで、自らの生活のスタイルを成立させていたはずです。自宅で顔を突きあわせる時間が普段より長くなり、これまで見えずにいたところが見えてしまう。互いに今まで見えなかったものが見えてくることで、フラストレーションが生じる一因となります。自分が思ったとおりにことが進まないというフラストレーションが高じて、他者に攻撃的になるケースも少なくありません。このため今回の局面では、家庭内のドメスティックバイオレンス(DV)や児童虐待への懸念も指摘されています。

外出自粛は生活の自由度を制限します。自由であれば可能だったはずのさまざまな選択ができなくなることが、ストレスの原因となるのです。職場でのストレスチェックでは、仕事の量と質、裁量の自由度でストレスの程度を測ります。当然のことですが、自由度が大きければ大きいほど、ストレスは少なくなります。外出自粛はある意味、拘束されているのと同じようなもので、精神的にはいい状況ではありません。いかに自由度を確保するかが、こうした状況での「生活の質」を左右するといえるでしょう。

気分転換と規則正しい生活を

感染リスクを高める「3密(密閉・密接・密集)」を避けることが前提ですが、在宅での仕事の後に、散歩をして気分転換をはかるのもいいかもしれません。チャットやビデオ通話、あるいはオンラインゲームなどで、外部の人と交流するのもいいでしょう。規則正しい生活も大切です。体を動かす機会も少ないため、なかなか寝付けないという人もいるでしょう。将来に不安を感じて不眠気味になる人もいるかもしれません。生活のリズムが崩れるとメンタル面にも大きな影響があらわれることも少なくありません。食事や睡眠など、意識的に生活のリズムを整えるように心がけてください。

新型コロナの感染拡大がいつ終息するのか分からず、不安を覚える人も少なくないでしょう。現在のような状況が長期化すれば、さまざまな問題が深刻化することは避けられません。難しいかもしれませんが、今の状況をできるだけ前向きに捉える意識を持つように心がけたいですね。外出自粛にしても「自分たちのために、みんなで協力して頑張っている」というように、自分の意思でやっていることだと思えば、わずかかもしれませんが心理的な負担も軽減できることでしょう。

※紹介した事例は個人を特定できないように一部を変更しています。

植田尚樹
1989年日本大学医学部卒、同精神科入局。96年同大大学院にて博士号取得(精神医学)。2001年茗荷谷駅前医院開業。06年駿河台日大病院・日大医学部精神科兼任講師。11年お茶の水女子大学非常勤講師。12年植田産業医労働衛生コンサルタント事務所開設。15年みんなの健康管理室合同会社代表社員。精神保健指定医。精神科専門医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。

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