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プラスチックの表面でも3日間 新型コロナの感染力

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日経Gooday(グッデイ)

新型コロナウイルスがさまざまな物質の表面に付着すると、厚紙の表面では24時間後まで、ステンレスの表面では48時間後まで、そしてプラスチックの表面では72時間後まで感染力を維持していることが、米国で行われた実験で明らかになりました。

論文は、専門家による評価・検証を受ける前の論文を公開する「medRxiv」に、2020年3月13日に公開されました[注1](追記:その後、この論文は2020年3月17日付のNew England Journal of Medicine誌[注2]に正式に掲載されました)。

エアロゾル状態または物質表面に付着した状態で、感染力を評価

実験を行ったのは、米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)や米疾病管理予防センター(CDC)などの研究チームです。彼らは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)と、2002~03年に世界的に流行したSARSを引き起こしたコロナウイルス(SARS-CoV-1)を使って、これらのウイルスのエアロゾル状態(空気中に浮遊する微小な液体の粒子に含まれた状態)での安定性と、物質表面に付着した場合の感染力の持続期間を評価する実験を行いました(エアロゾルについては、関連記事「新型コロナで可能性指摘 『エアロゾル感染』とは?」参照)。SARS-CoV-1は、人に感染するコロナウイルスの中では、SARS-CoV-2に最も近いことが知られています。

実験1:エアロゾル状態でのウイルスの感染力の持続期間は?

1つめの実験は、エアロゾル状態でのウイルスの感染力の持続を調べる実験で、日常生活からかけ離れた、人工的な環境下で行われました。1分間に3回転するドラムの中で、ネブライザー(液体を細かい霧状にする装置)を使って、これらのウイルスを含むエアロゾル(直径5μm未満)を発生させ、 3時間にわたって回転させ続けました。ドラム内の気温は21~23度、相対湿度は65%に設定しました。

通常なら、時間が経過すればエアロゾルは床に落ちますが、ドラム内では空中に漂い続けることになります。開始時点と0.5時間後、1時間後、2時間後、3時間後に、ドラム内の空気中のウイルスを、ゼラチンフィルターを用いて回収し、培養液に溶かしだして、培養細胞(Vero E6細胞)に感染させ、ウイルスがどの程度の感染力を維持しているか調べました。Vero E6細胞は、コロナウイルスに感染すると形態が変化するため、感染性を持つウイルスがどの程度存在するのかを判定するために用いられています。

実験2:さまざまな物質表面に付着したウイルスの感染力の持続期間は?

もう1つの実験は、ウイルスがさまざまな物質の表面で感染力を維持している時間を調べる実験です。厚紙、金属、プラスチックなどの素材でできた板を、気温21~23度、相対湿度40%の環境下に置き、ウイルスを含む培養液50μLを少なくとも8カ所に滴下して、その状態を維持する方法で行われました。

滴下直後と1時間後、4時間後、8時間後、24時間後、48時間後、72時間後、96時間後に、滴下場所の表面に培養液1mLを垂らして、ウイルスを回収しました。厚紙の場合には染みこんでいるため、その場所からスワブ(綿棒のような器具)を使って回収し、培養液にウイルスを移行させました。得られたウイルスをVero E6細胞に感染させて、細胞の変性の度合いを観察しました。

どちらの実験でも、開始時点のサンプルは、感染者の咳やくしゃみといっしょに放出される飛沫に含まれるレベルのウイルスを含んでいました。回転ドラム内のエアロゾルと物質表面という2種類の実験は、それぞれ3回ずつ行いました。

ウイルスの感染力(正確には感染価)は、回収したウイルスが含まれている培養液を段階的に希釈し、どこまで希釈すると、培養細胞の50%を変性させられなくなるのかに基づいて評価しました。

[注1]Doremalen N, et al. medRxiv preprint doi: https://doi.org/10.1101/2020.03.09.20033217

[注2]Doremalen N, et al. New Engl J Med. 2020 Mar 17. DOI: 10.1056/NEJMc2004973

エアロゾル状態で3時間、プラスチック上では3日間感染力を維持

得られた結果をまとめたのが表1です。

表1 ウイルスは何時間後まで感染力を維持していたか(感染価が認められたか)

人工的に浮遊させ続けたエアロゾル中のSARS-CoV-2の感染力は、著者らが観察した3時間でやや低下したものの、高く維持されていました。SARS-CoV-1でも結果は同様でした。

SARS-CoV-2は、各種表面の中では、プラスチック(ポリプロピレン)上で最も安定していました。感染力は経時的に低下していましたが、72時間後でも感染力を保ったウイルスが表面に存在していました。しかし、96時間後に回収したウイルスの感染力は、検出限界以下でした。

ステンレス(ステンレススチール)の上では、どちらのウイルスも48時間後までは感染力を維持していました。一方、銅板(純度99.9%)では、感染力のあるSARS-CoV-2は4時間後まで、SARS-CoV-1は8時間後までしか検出できませんでした。

気になるのは厚紙です。SARS-CoV-1は8時間後以降には検出できなくなったのですが、SARS-CoV-2は24時間後まで感染力を維持していました。

続いて、ウイルスの感染価が半分になるまでの時間を調べたところ、2種類のコロナウイルスの間で差が有意になったのは厚紙上とステンレス上で、いずれも新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の方が感染力を長く維持していることがわかりました(表2)。

表2 ウイルスの感染価が半減するまでの時間(中央値)

2つのウイルスがエアロゾル中と物質表面上で感染力を持っている時間は、厚紙上を除けば、大きな差はありませんでした。SARSと比べると、新型コロナウイルスによる肺炎の患者の増加が著しい理由は、これ以外のウイルスの特性にあるのかもしれません(参考記事「新型コロナ、無症状の感染者からも発症者並みウイルス」)。

medRxiv(メドアーカイブ)とは

 medRxiv(メドアーカイブ)は、米Cold Spring Harbor研究所と英国の医学系雑誌出版社BMJ、米Yale大学の3機関が共同で運営するWebサイトで、新しい知見を迅速に共有し、フィードバックを受けるためのプラットフォームとして無償提供されています。公開されているのは、専門誌に投稿された、査読(※)前の論文です。新型コロナウイルスに関する情報の速やかな公開は、medRxivによって可能になったといえます。

※査読とは、研究者が執筆し専門誌に投稿された論文を、その分野の研究を行っている専門家が評価、検証し、誌面に掲載するかどうかを判断する審査の過程をいう。
大西淳子
医学ジャーナリスト。筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

[日経Gooday2020年3月17日付記事を再構成]

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