対話や学ぶ姿勢大切 完全オンラインの大学で得たことミネルバのふくろう(10)

初期の段階では学生もガンガン発言するのに抵抗があります。必要であれば、様子を見ながら特定の学生に名指しで意見を求めるなど、多少強行的な措置をとってもいいかもしれません。意見の発信が当たり前であるという状況に慣れてくれば、名指しもやがて必要なくなってくるはずです。

知識欲を刺激するような環境を与えれば、大半の学生はのびのびと学習します。「オフライン vs オンライン」という視点ではなく、どうすれば学びが楽しくなるような環境づくりができるか。この点さえおさえれば、あとは学生同士で勝手に、それも非常に効果的に、学んでくれるのではないかと思います。

ネットは「世界図書館」

学校という枠組みの中での話をここまでしたが、その枠組みの外での学びについても少し触れたいと思います。外出頻度が減った今、自宅で過ごす時間は多いでしょう。必然的にネットに触れる時間も多くなる。この状況を自宅でニートしているのではなく、「世界図書館」に籠っていると思えば、どれだけの学びが可能かは明らかです。料理が好きな人はいくらでもネットでレシピ動画をあさって、実際に作ってみたらどうでしょうか。積読しておいた書籍を読みあさるのでも良いし、なんならたまっていた映画を消化するだけでもいい。

好きなことをするというのは、なんでも学びのあるものです。ネットはその好きなことに触れる第一歩としてとても優しいものだと私は思う。ネットに触れる時間が増えた今、「どうすれば学びを継続できるのか」といった肩の力を抜いて、好きなことに没頭すると決めるのも一手です。

最後に、僕がミネルバで本当に学んだのはオンラインの授業形態よりも何よりも「他者に接する心」であることを付記しておきたいと思います。

こういう天災のときには、僕たちの持つ共感力や社会性というものを発揮して乗り越えるしかないのだと思います。困っている人がいたら、助ける、という当たり前のことが大切になってきます。ここアルゼンチンでも、数週間前に外出禁止令が出ました。経済が急に止まるものだから、仕事を失ったホームレスの人たちが日増しするのが目に見えます。食材の買い出しに出かけるだけで、4~5人には「お金を恵んでくれないか」「食べ物を持っていないか」と声をかけられるのです。そんなときに、彼らを無視して通り過ぎることは僕にはできません。状況が違えば立場が逆だったかもしれないのですから。

こういう大変な時期こそ、周りの人に一歩優しく接することを心がけて、みんなで胸を張って乗り越えていきたいと、強く思います。アルゼンチンから、願いを込めて。

日原翔(ひはら・しょう)
1998年埼玉県生まれ。聖光学院高等学校を中退し、経団連の奨学金制度でカナダのPearson College UWCに2年間留学。2017年9月よりミネルバ大学に進学。身体を動かすことが好きで、現在はダンスに熱中している。科学や政治経済にも関心を持っており、自身の将来像は未だに悩みあぐねている。座右の銘は「二兎を追う者のみが、二兎をも得る」
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