異例の値上がり テレワーク急増、関連機器が品不足
値段の方程式
新型コロナウイルスの感染拡大で在宅勤務(テレワーク)が思ってもみなかった形で、急拡大しています。そもそも働き方改革の一環で始まったテレワークですが、感染拡大前までは一部の業種に限られ普及していませんでした。コロナ禍をきっかけにした急すぎる展開で、多くの企業がテレワークの環境整備を慌てて進めています。
機器そろえて作業効率アップ
テレワークですが、どんなモノが必要なのでしょうか。まずはパソコン。ノート型は会社から支給の場合が多いですね。パソコンがカメラ内蔵でない場合、ウェブカメラもいります。オンライン会議用で聞きやすく話し声も伝わりやすいのがヘッドセットです。ノートパソコンだと画面が小さいため、PCモニターがあると作業がはかどります。
ウェブカメラの売れ行き4倍に
自分の職場でも原則、在宅勤務になりました。社内、社外との打ち合わせもオンライン会議を使っています。ただ、会議する場合に、相手によってスカイプやZoomなど、いろんな種類があり、使い分けに戸惑っています。映像で家の中が映し出されるので背景にも気をつかいますね。
テレワーク向け機器の売り上げですが、ビックカメラによると2~3月の売り上げはウェブカメラが前年の同じ期間に比べて4倍、ヘッドセットが前年2.5倍になっているそうです。急激に売れているのが分かりますね。
異例の値上がりも
注目したいのが値動きです。通常、家電や電子機器の値段は通常は発売後、緩やかに下がっていくのが一般的です。でもテレワーク向け機器は下がっていません。むしろ上がり気味といっていいかもしれません。
異例の値動きになっている背景にあるのは品不足です。テレワークに使うパソコン周辺機器の生産はほとんどが中国です。新型コロナウイルスの影響で、製造が滞っているため、入荷されません。
一部の人気製品は大型の家電量販店含め通常ルートでは売り切れてしまっています。この結果、何が起こるかというと、マスクや消毒液と同じ、高額転売です。ウェブカメラの人気商品「ロジクールのB525」でみてみましょう。BCN(東京・千代田)のデータによると直近4月5日まで一週間の平均単価は4500円程度です。
先日、都内の家電量販店に行ってみてきましたが、すでに売り切れていました。店員さんに聞いてみましたが、入荷時期未定ということで、メーカーからの取り寄せもできない状態でした。
この製品をアマゾンで探すと9日朝の時点で2万680円~となっています。最高で2万5000円という値段がついていました。転売市場の過熱は、需要が急増しているのに対し、供給が追い付いていないことのあらわれです。
初めてテレワーク経験、47%
今後はどうなるでしょうか。パーソル総合研究所の3月の調査によると、正社員のテレワークの実施率は13.2%、そのうち初めてテレワークを実施した人は半数近い47.8%となりました。実施率でみるとまだまだ低く、今後、増える余地がまだまだありそうです。
いずれにしても、テレワーク向け機器は需要はまだまだ増える一方、海外のサプライチェーンが回復し品薄状態がなくならないと店頭での値上がりや高額転売が続きそうです。
仕事に集中という意味では、こういうものもよく売れているそう。テントのような「インスタント個室」。夫婦でテレワークする場合や子供がいる環境で、邪魔されず集中して仕事ができるということでかなり売れ行きもいいそうです。
(BSテレ東日経モーニングプラスFTコメンテーター 村野孝直)
BSテレ東の朝の情報番組「日経モーニングプラスFT」(月曜から金曜の午前7時5分から)内の特集「値段の方程式」のコーナーで取り上げたテーマに加筆しました。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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