自主映画撮影でボヤ騒動 アンテナ社長の聖光学院時代
杉本哲哉・グライダーアソシエイツ社長(上)
杉本哲哉・グライダーアソシエイツ社長
キュレーションアプリ「antenna*(アンテナ)」を運営するグライダーアソシエイツ(東京・渋谷)の杉本哲哉社長。リクルートを経てネット調査会社マクロミルを創業し、4年で東証マザーズ、さらにその翌年には東証1部に上場させた起業家だ。母校は東京大学合格者数で全国屈指の実績を誇る中高一貫のミッション系男子校、聖光学院(横浜市)。自らの原点は、自主制作映画にいそしんだ中学高校時代にあるという。
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人生の絶頂期は小学校時代だった。
横浜市内のニュータウンで育ちました。実は人生の絶頂期はそこでの小学校時代だったと思っているんです。学校が本当に楽しくて。劇団をつくって昔話をアレンジした脚本を書いたりしていました。学校の発表会では、親御さんたちを含め、多くの人たちが劇を見に来てくれました。運動会では応援団長を務めました。三三七拍子の音頭を取って、めちゃくちゃ気持ちよかったですね。いたずらっ子でもあったので、先生からしたら問題児だったのかもしれませんが。
自宅近くの公立中学へ進むものだと思っていたら、小学5年生の夏ごろ、親から進学塾の入塾試験を受けるように言われました。あまり気が進まない半面、受けてみたいという気持ちもありました。というのも、エンジニアだった父が計画好きで、小学生向けの参考書を全教科買ってきては、何ページから何ページを何月何日までにやりなさいと、年間計画を立ててくれていたのです。それを淡々とやっていたので、自分の実力を確かめたいという思いもありました。
両親ともに三重県伊勢市にある県立高校の出身で、父は大阪大、母は大阪教育大に進みました。2人とも県立から国立ですから、子供心に私立中学には行かせないだろうと思っていたのですが、当時の神奈川県立高校の学区制度に否定的で。学区はいかんと言い出し、中学受験することになりました。
塾に通い始めると、毎月のテストの結果もよくて、楽しくなりました。大手進学塾の公開模試でも、手応えを感じるようになりました。
聖光とは別の私立中学も候補にあがりましたが、通学時間が片道90分以内という条件があって、受験できませんでした。母は信徒ではないのですが、キリスト教に引かれるところがあったようで、聖光を強く勧められました。教育大でピアノを専攻してたからかもしれませんが、ヨーロッパの文化や芸術に関心が強く、母も教育には熱心でしたね。
どうしてだったのか確かめたいのですが、確かめようがないんです。母はぼくが高校2年の冬に亡くなってしまったからです。早期発見や治療の難しいスキルス性の胃がんでした。