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50位以内に12の日本店 アジアの人気レストラン

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アジアで人気のレストランを投票する「アジアのベストレストラン50」が3月末に発表された。1位は2年連続でシンガポールの「Odette(オデット)」、2位は前年の11位から順位を上げた香港の「The Chairman(ザ・チェアマン)」で、3位には前年と同じ日本料理の「傳(でん)」(東京・渋谷)が選ばれた。日本は50位以内に12店がランクインするなど圧倒的な存在感を見せつけている。しかし傳の長谷川在佑シェフは「今までで一番しっくりこない」と首をかしげる。美食の世界で今、何が起こっているのだろうか。

まずはランクインした日本の12店を見てみよう。注目したのは大阪市の「La Cime(ラ・シーム)」と東京都渋谷区の「Ode(オード)」だ。

「ラ・シーム」は18年に17位で初登場し、19年は14位、20年は10位と順位を上げてきた。さらに今回、高田裕介シェフは同業シェフの投票によって選ばれる「シェフズ・チョイス賞」も受賞している。

「オード」は初登場で35位。生井祐介シェフは17年にオープンしたときからベストレストラン50を意識し、内装や料理や器選びなど、すべてにおいて「何故それを選ぶのか」を追求してきたという。

店の代表メニューは「グレー」。イワシの頭と骨を混ぜて作ったメレンゲの下にはイワシのマリネと尾崎牛のタルタルが隠れている。グレーという色は一般に、食欲をそそらない、インスタ映えしない、などの理由で食の世界では敬遠されがちだ。

「オード」ではテーブルや床など店内もグレーで統一しているが、質感の異なる素材を組み合わせることで無機質な印象を抑えている。むしろ落ち着いた空間ゆえに、提供される一皿一皿が際立つ。

例えば色鮮やかなエディブルフラワーが目に飛び込んでくる1品。のせている数センチ四方の赤いシートはトマト1個を3日間かけて乾燥させたもので、甘みや酸味がぎゅっと凝縮されている。

美食の世界には、専門の調査員が審査する『ミシュランガイド』や、一般の人々が数多く投票する「食べログアワード」などがある。こちら「ベストレストラン」のランキングは著名なシェフやフードライター、世界中を食べ歩くフーディーら約300人が10店ずつ投票し、50位までをランキングする。いわば食通による人気投票だ。

昨年、木村拓哉氏が主演したTBS系ドラマ「グランメゾン東京」でも「トップレストラン50」としてランキングが話題となった。英ウィリアム・リード・ビジネス・メディアが02年に「世界のベストレストラン50」を始めたもので、13年にアジア版をスタートさせた。

投票の対象となるのは過去18カ月以内に訪れた店に限られ、最低でも4店は自国・地域以外から選びぶなどのルールがある。投票者は明らかにされず、毎年約3割が入れ替わるため最新の美食トレンドが順位に反映されやすいと言われる。ちなみに投票は昨年末に実施しており、新型コロナウイルスによる影響はない。

新しい流れが次々生まれる美食の世界。変わり続けなければ客はすぐに飽きる。だが13年の初回に1位だった「NARISAWA(ナリサワ)」(東京・港)が7年間ずっとベスト10内を維持していること、ランクインした日本の店が9店から12店に増えたことを考えれば、日本のガストロノミーのレベルが上がっていることは明らかだ。ちなみに今回、50位内にランクインしたのは香港が8店、シンガポールとタイが7店だった。

そのランキングだが、傳の長谷川シェフは「しっくりこなかった」と話した後「食べ手の感覚が変わってきた」と続けた。「La Maison de la Nature Goh(ラ・メゾン・ドゥ・ラ・ナチュール・ゴウ)」(40位、福岡市)の福山剛シェフも「投票者の好みが変わった気がする」と話す。50店中、初登場は7店。ジャンプアップした店もあれば、大きく順位を落とした店も少なくない。「今回ほど順位が荒れたのは初めて」と口にする人もいる。

大きな変化の1つとして挙げられるのは投票者だろう。これまでは男性中心だったが、ダイバーシティの流れを受け、主催者側は年々女性の投票者を増やしている。既に「世界のベストレストラン50」は投票者の男女同数を実現しており、「アジアのベストレストラン50」も女性の投票者が増えているという。各国・地域ごとの投票者を決めるチェアマンも、アジアは6人中4人が女性になった。あるシェフは「かつてはなじみの男性常連客が応援投票してくれているムラ社会的な感じがあったが、最近は自分の知らないところで票が集まっている」と話す。

家庭の料理を担うのは今もほとんど女性だが、シェフの世界となると一転、男性が大多数を占める。主催するウィリアム・リード社はランキング以外に「ベスト・フィメール・シェフ賞」として女性のシェフを選出しており、今後、作り手と食べ手に女性が増えることで美食の領域に新しい世界が広がることを期待したい。

残念なのは、日本で初めて開催されるはずだった表彰式が、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため中止となったことだ。本来なら佐賀県がその舞台となり、受賞したシェフらが一堂に会する予定だった。アジア各国・地域から食の専門家800人が集まる機会はめったにない。佐賀をはじめ日本の食材や食文化、日本を代表するレストランを紹介する絶好のチャンスだっただけに、関係者の失望は想像に難くない。

英本部が発信したバーチャルアワードセレモニーを、東京では一部のシェフらが見守った。日本のチェアマンである中村孝則氏によれば、ランキングを発表することにも議論があったが「シェフへの感謝の念と団結を深めること」を目的に実施が決まったという。その後、6月にアントワープで開催予定だった「世界のベストレストラン50」はランキングの発表自体も中止となった。今や多くの飲食店は休業を余儀なくされている。

「美味礼賛」で、著者のブリア・サヴァランはこう書いた。「新しいごちそうの発見は人類の幸福にとって天体の発見以上のものである」。発見の旅に再び出かけられる日が、本当に待ち遠しい。

(中村奈都子)

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