仕事は現場で起こっている! 高尾山はまず登ってみる
第3回 現場思考
あなたが店長なら何をしますか?
今回はクイズから始めます。「世界一登山客の多い山」と言われている東京都の高尾山。登山口の近くにコンビニを新たに出店することになったとしましょう。
季節はゴールデンウイークの直前。いよいよ本格的な登山シーズンが始まり、たくさんの登山客が押し寄せてくることは確実です。それに応えるために、ライバル店もいろいろ策を練っているようです。これらの話から考えて、店長のあなたは何をしますか。
私の研修でこのクイズをすると、一番多い答えは「飲み物を大量に発注する」です。たしかに、水分補給は登山に欠かせません。間違いではありませんが、ライバル店も同じことを考えており、差別化にはなりませんよね。
「目につきやすい広告物をつくる」「店員の教育をする」という答えもよく出ますが、これも同じ。何を売りにするのか、戦略を練ってからでないと、広告やサービスの方向性が定まりません。
もうお分かりのように、(私が用意した)正解は「高尾山に登ってみる」です。とりあえず店は店員に任せて、何度も繰り返し。そうやって登山者になりきってみるのです。
自分の目と耳で現場を体験しないと、登山者が本当に必要とするものが分かりません。この季節、寒暖差が大きく、晴れるか曇るか、午前か午後かで、登山者が求めるものが違うはず。驚くほど軽装備でやってきた人もいれば外国人も増えています。彼らに特有のニーズがあるかもしれません。
現場から発想したアイデアは、ライバル店との差別化に大きく寄与してくれることでしょう。こういうときこそ現場から考える「現場思考」がとても重要になります。