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MIYAVI サムライギタリストが入手した本物のギター

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NIKKEI STYLE

ピックを使わず エレキギターを指で弾く独自のスラップ奏法で世界中から注目を集めたギタリスト/アーティストのMIYAVIさん。世界約30か国でライブを行うなど、活動はワールドワイドだ。近年は、アンジェリーナ・ジョリーが監督を務めた映画「不屈の男 アンブロークン」やハリウッド大作「マレフィセント2」などで俳優業にも進出。2017年からは国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の親善大使として活動を続けている。唯一無二の表現スタイルや凜(りん)としたたたずまいから「サムライギタリスト」の異名を持つMIYAVIさんが語ってくれたのは、「フェンダー・カスタムショップ・テレキャスター」。通称「テレキャス」。王道といわれるエレキギターに、かなり大胆な改造を施しているところがなんともMIYAVI流だ。

◇  ◇  ◇

本物のプレイには本物のギター

そもそもスラップ奏法をはじめたのは、ギタリストとして世界と対峙するためのオリジナリティーを求めていたからです。僕はクラシカルなロックというよりは、21世紀の今、30年代、さらにその先へつながる新しいギターミュージックの創造をしたいんです。そのために、DJや(声や口の動きで楽器の音やリズムを再現するパフォーマーである)ヒューマンビートボクサーなど、ロックとは違うフィールドのミュージシャンとも積極的にコラボしてきました。

15年にリリースしたアルバム『The Others』で、米テネシー州ナッシュビルに拠点を置くプロデューサーチーム、ドリュー&シャノン(インディア・アリーの作品でグラミー賞を受賞。ほかにも著名アーティストの作品に携わる)とコラボし、その過程で、よりソリッドで強い音が必要だと感じていたところにテレキャスターとの出合いが重なりました。僕はブランドで選ぶのではなく、自分が求める音が出ればどのメーカーでも構わないというスタンス。なので、いわゆる「テレキャスター風」のギターを愛用していたこともあって、それを抱えながらローリングストーン誌などの表紙を飾っていたら、それを見たフェンダーミュージックから「一度、話をしよう」と電話がかかってきた(笑)。社長のエドワード・コール氏に会うと、「本物のプレイには、本物のギターを使うべきだ」と言われ、フェンダーのギターを手渡された。あの時が、テレキャスターとの初めての出合いでしたね。

僕はオリジナリティーを追求するあまり、「王道」と呼ばれるものを避ける節がありました。でもね、実際に弾いてみるとやっぱりいい音が鳴るんです。テレキャスターの持つある種独特な反骨のアティテュード(姿勢)がかっこいいと思ったので、迷わず使うことにしました。とはいいつつ、かなり改造しています。チューンアップすること自体、フェンダー社の技術者にとってはかなりの挑戦だったと思います。「テレキャスターでやってはいけない改造トップ3」があるとしたら、それを全部やっていますから(笑)。最初に、「ワーミーバーをつける」と技術者に言ったとき、かなりけげんな顔をされました。テレキャスターの信奉者から見れば、「それ、テレキャスにつけるのか」って突っ込みたくなるような改造だと自分でも思います。でも僕の音にはそれが必要だった。

弦振動をコントロールするサスティナーの内蔵も、絶対にテレキャスターではやらないと思う(笑)。でもこれは、僕が近年取り組んでいるデジタルサウンドとの融合に欠かせないチューンアップでした。さらに、ピックアップをハムバッカーに替えたのですが……テレキャスターといえば、シングルコイル・ピックアップの代表的なギター。それをハムバッカー(ハムバッキング・ピックアップ)に替えたのだから、技術者も逡巡(しゅんじゅん)するところはあったかもしれません。別のギターをもう1本持てばいいじゃないかと思うかもしれないけど、僕はテレキャスターが本来備える強さ、アティテュードが好きなんです。だから、それを生かせる改造は躊躇(ちゅうちょ)しません。これ1本持って世界中どこにいっても戦える。

音楽は一瞬で言葉の壁を超える

きっと、多くのギタリストからすれば僕のギターは「邪道」なのかもしれません。でも、それでいいんです。もちろん伝統に最大限のリスペクトを払いますが、それと同時に僕の役割は逆につくられた壁・様式を壊し、何かを創造すること。「邪道」も突き詰めていくことで、いつしかそれが「王道」になって行くと思うし、未来のフェンダー、そしてギターそのものの可能性を広げることにもなるかもしれない。また、いろんな側面を持つこのギターは、世界中を旅する僕の活動スタイルにすごくマッチしています。あれがなければだめ、これもないと……と言っていては、世界は待ってくれない。ギター1本を抱えてどこでも勝負できる状態にしておく必要がある。最初の音色を聴いた瞬間に「MIYAVIの音だ」と分かるギターが1本あれば十分。それに、たくさんギターを持ち運ぶとエクストラバゲージ、超過料金もかかりますからね(笑)。

特に、UNHCRの親善大使を務めるようになってから、身軽さが重要だとより感じるようになりました。どんな場所でも、ギターを鳴らすと子供たちは笑顔になってくれる。音楽は一瞬で言葉の壁を超えるし、心を一つにできる。エンタテインメントの力を目の当たりにする瞬間です。

目の前に危機が迫っているときに必要なのは ライフライン、医療、食料。それ以外にはありませんし、その次に必要なものは教育です。エンタテインメントはその先にあるものですが、食べて寝るだけでは、やはり人って生きた心地がしないんですよ。親善大使として巡ったケニアやコロンビア、バングラデシュなどでもそれを痛感しました。

飛行機の中で、ふと曲が生まれることも多いですね。僕の作る音楽は単なるラブソングではないから、日々の経験が創作の糧になっているんです。新しいアルバム「Holy Nights」もそんな日常から生まれました。「聖なる夜」というタイトルは、僕が住んでいるロサンゼルスの静かな夜からヒントを得ました。大都市だけど自然も近くて、きれいな星空も見える。そんな穏やかな生活がある一方で、ふと見渡すと「世界は燃えている」。世界各地で起きる森林火災はもちろん、異常気象がもたらす災害、難民問題、広がり続ける貧富の格差、国同士のあつれき、そして、まん延する新型コロナウイルス……。隣人とトイレットペーパーを奪い合うのではなく、互いにコンセンサスを取りあっていかなきゃだめだと強く危惧します。

失ったものを音楽で取り戻すことができる

新型コロナウイルスは世界中で猛威を振るっています。でもこんな時だからこそ僕は、希望を歌いたい。(自粛要請やロックダウンで)外出もままならない、誰かと触れ合えないという鬱屈した日々でも、音は人と人とをつなぐことができる。イタリアの市民の方々がベランダで歌った映像がSNSで称賛されたように、目に見えない音楽こそが目に見えないウイルスに打ち勝てるキーかもしれないなと。

もちろん、音楽がコロナウイルスを撲滅できるわけではないけど、失った心や希望みたいなものを音楽で取り戻すことができるんじゃないかと思うんです。アルバムには、そういったメッセージも宿っていますし、そういった意味で図らずも今の時代を象徴するような作品になりつつあるのかなとも感じています。この作品が世に放たれ、どう響くのか僕自身も感じられればと思います。

「今、欲しいもの」ですか?(しばし考えてから)花粉症がひどいので、今ここに大量のティッシュペーパーが欲しい(笑)。モノへの思い入れを語るコンテンツにそぐわないかもしれないけど、様々な活動をすればするほどモノへの執着心が薄れていきます。それは、僕だけに起きている変化ではないと思うんです。音楽のデジタル化もその一環だと思いますし、物質から非物質へが時代の流れなのかなと思いますね。

MIYAVI:1981年生まれ、大阪府出身。2004年にメジャーデビュー。「SAMURAI SESSIONS」シリーズでは、三浦大知やVERBALなど、様々なジャンルのアーティストとコラボ。4月22日にLDHマネージメント移籍後初となる12thアルバム「Holy Nights」をリリース。

(文 橘川有子、写真 藤本和史)

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