最大級の失明リスクに立ち向かう

共同で開発しているのは「光干渉断層計」(OCT)と呼ばれる機器だ。窪田製薬は網膜症の患者が自宅で使うことを想定して、双眼鏡サイズのOCTの開発を進めていた。宇宙では網膜だけでなく視神経も検診できるように開発を深掘りしており、3年かけて成果を出したいという。

この小型で携帯可能なOCTが役立つと期待されるのは、眼疾患の中でも特に深刻とされる網膜症の一種「加齢黄斑変性」を患う人だ。この病気は、加齢とともに網膜の中心部にある黄斑部が異常をきたし、徐々に視力が低下していくという。欧米では主な失明原因だとされる。窪田製薬は、OCTのような「眼科デバイス事業」に加えて、この加齢黄斑変性のような眼疾患の難病を飲み薬で治すための「創薬事業」の2本柱で開発を展開している。

「大手製薬会社が参入するかどうかは1000億円規模が基準になるとされていて、こうした希少疾患向けの新薬開発は非常に価値が大きい。なにしろ、『これを飲めば治る』という薬ができたら、世界中の患者さんが救われます」

窪田氏は研究者、臨床医の両面で経験が豊富だ

窪田氏は慶応大学医学部を卒業後、眼科学の研究をしたのち、慶応や虎の門病院(東京・港)などで臨床医として緑内障や白内障、網膜疾患といった目の手術などを手がける執刀治療も経験してきた。

「眼科を選んだ理由は、叔父が眼科医だったこともありますが、眼科医は内科や外科に比べるとマイナーでもあり、研究と臨床の両方を幅広くできるのが魅力的でした」

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臨床重ねて強まった「人を助けたい」の気持ち
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