オードリーに会える 日本一出演のハードルが低い番組
「春日さんがやったら絶対に面白いギャグを思いつきました」や「中2の息子が若林さんになろうとしていて不安です」など、オードリーに会いたい、会わせたい理由を100文字以内で番組にクチコミ投稿し、選ばれると実際にスタジオで会える『オードリーさん、ぜひ会ってほしい人がいるんです。』。ネタや特技が"取るに足りないもの"であることがかなり多く、「日本一出演のハードルが低い番組」と自称している。
制作しているのは中京テレビ。2012年4月からローカルでスタートしたが、19年からは日本テレビでも放送を開始し、ほぼ全国放送になって約1年がたつ。番組開始時から演出を務める富田恭彦氏は、この企画について「『オードリーを困らせよう』という意図がありました。どんな人が来るか分からないなかで、ゲストを迎え入れて送り出すところまで、全部の責任をオードリーに持ってもらおうということで」と説明する。
オードリーは収録で初めて投稿者に会い、行き当たりばったりでトークする。「初期の頃はオードリーが何もしゃべれなくなることもありました(笑)。でも、すごく上手に1つひとつのネタを転がせるようになって。僕たちは事前に会っているので、『ここをノックするとよさそうですよ』と伝えますが、お2人はわざと違うアプローチも試みてくれます。踏み込んでみたもののうまくいかないときもありますが(笑)、多様性を大事にしているので、そんなことも全部含めて楽しんでます」(富田氏)。
採用するクチコミは、若林正恭と春日俊彰それぞれが選ぶ。2人が出演する番組ではたいてい若林がMCだが、『オードリーさん、ぜひ会ってほしい人がいるんです。』には選んだほうが進行するというルールがあり、プロデューサーの風間一徳氏は「他の番組とは違うオードリーが見られることが自慢」と話す。「春日さんは体を張ったり、ツッコまれるイメージが強いですが、実は進行もできるんです。そのときは若林さんがしっかりボケに回っている。改めて実力があるコンビなんだと感じています」
風間氏は、ネタが面白そうな人のリサーチをしないことと、視聴率を過剰に意識しないことも番組の特徴として挙げる。「テレビらしくないゆるさが魅力だと思っているので、欲を出してパワーアップだとかは考えていません」
放送当初からダイジェスト版をユーチューブにアップしており、昨年12月にはチャンネル登録者数が10万人、総再生回数は1億回を突破した。Huluの配信も好評で、"ハズレ回"の楽しみどころをネットで解説するなどコアファンもいる。「年を取ったオードリーも見たいですし、長く続けることが目標です」(富田氏)
(日経エンタテインメント!4月号の記事を再構成 文/内藤悦子)
[日経MJ2020年4月10日付]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。
関連企業・業界