高校から東大など難関大学受験専門の進学塾「鉄緑会」に入った。上位のクラスには灘高校(神戸市)の個性的な男子生徒らがいた。毎年20人前後が東大理3に合格する全国トップクラスの進学校。冗談を言い合いながら、数学の難問を楽々解く。「クセが強いけど、すごいわ」と強烈な刺激を受けた。

相対性理論も学びたい

最初は自宅から通える関西の大学の医学部に進むことを考えたが、仲間の話などを聞くうちに「理3はめちゃ面白そうや」と思うようになった。通常の大学は1年生から医学中心に学ぶが、東大は1~2年生が教養課程に当たるため、多様な学問に触れられる。「相対性理論も学びたい」と高校2年生の冬に理3を志望、猛烈に勉強を始めた。

灘高や筑波大学付属駒場、開成、桜蔭など全国有数の中高一貫校の成績上位者は、中学1年生から鉄緑会に入り、理3受験の準備を進めるといわれる。しかし、上田さんが本格始動したのは入試1年前からと大きく出遅れた。だが、小学校時代には1度テキストをパラパラめくっただけで暗記できるほど記憶力がよかった。オンとオフを見事に使い分け、一度目標を設定したら、努力を惜しまない、負けず嫌いな性格でもある。短期集中で成績を伸ばした。

19年春に理3に合格した101人のうち女子は2割だけ。四天王寺高校からの現役合格は上田さん1人だった。挫折したり、嫉妬されたりした経験はないのかと問うと、「さあ、どうやろ。あんまり気にしないタイプやから」と屈託がない。入学して早速、ジャズダンスサークルに入り、多くの友人をつくりオフタイムを楽しむ。「東大には起業をしたいとか、ユニークで意識高い系の子が多い」と満足そうだ。

困ったのは東京という街そのものだ。「これ、何の行列ですか」。街を歩いていて気になることがあると、全く知らない他人にでもすぐ尋ねたくなるが、東京だと友人から止められる。大阪の街を歩くと、「お姉ちゃん、きょうの阪神タイガースの試合はどうやろ」と見知らぬおじさんによく話しかけられた。そんな時は、「もちろん阪神が勝つでしょう」と答えるのが“礼儀”だと笑う。大阪では人と人の距離が近い。東京でテレビをつけると、「ダウンタウンさんはよくみるけど、関西のようにお笑い番組が多くないから、寂しい」と嘆く。

周囲の友人に勧められるままミス東大に応募したのは、「せっかく東京に来たし、新しいことに挑戦しよう」という軽い気持ちだった。笑いで盛り上げて一緒に楽しもうという関西人一流のサービス精神だったともいえそうだ。ミスコンに携わるエイジ・エンタテインメント(東京・目黒)も「歌ったり、踊ったりする女子学生はいるが、お笑いをやるミス東大は見たことがない」(同社の大美賀将行さん)と笑う。

上田さんは「TWICE」にふんした格好でダンスを披露し、ミスコンの会場を沸かせた(エイジ・エンタテインメント提供)

四天王寺高校の19年の合格者数は東大が4人、京大は7人だったが、国公立大学医学部医学科は50人程度と関西ではトップクラス。圧倒的に医学部志向が強い女子校だ。3月になり、浪人していた同級生たちから「うちも医学部に受かったよ」という吉報が次々舞い込む。上田さんの将来の目標は「患者の不安を取り除いてあげられる臨床医」。笑って踊れるドクターが誕生しそうだ。

(代慶達也)

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