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フレンチのエスプリ漂う和食料理店 東京・雑司が谷

2020/4/20
黒豚の角煮は8時間かけて味を煮含めたもの
黒豚の角煮は8時間かけて味を煮含めたもの

にぎやかな池袋エリアのすぐそばにありながら、どこかノスタルジックでゆったりとした空気が流れる東京・雑司が谷。そんな街の雰囲気にすっかりとけ込んでいる和食店が「元喜(げんき)」だ。フレンチ出身の料理人が作るセンス抜群の和食が気軽に楽しめるとあって、リピートする人々で賑(にぎ)わっている。東京メトロ副都心線の雑司が谷駅に程近い、交差点に面したビルの2階に「元喜」はある。

Summary
1.元フレンチ料理人が作る、つい通いたくなる和食店
2.サスエ前田魚店から仕入れた鮮魚など、食材選びにもこだわり
3.注文を受けてから炊き上げる土鍋ご飯が絶品

ドアを開けると迎えてくれるのはほっこり笑顔に心がなごむ、料理長の岡部藤夫さん。

岡部さんのキャリアは和食料理人としては異色だ。初めはフランス料理に憧れ、麹町や赤坂、銀座などのフレンチの名店で修業を積んだ。正統派のフランス料理を学ぶ中、ほかの料理も学んでみたいという気持ちが生まれてきたという。

「フランス料理は年に1~2回、ハレの日に食べることが多いですよね。もっと身近に感じられる、月に1~2回楽しめるような料理を作りたいと考えるようになったんです。そこで和食を学んでみようと思いました」(岡部さん)

思い立ったが吉日。フランス料理店で働きながらも、夜は和食店でバイトするなどして、27歳の頃から本格的に和食の道を歩むようになる。その後、和食でも実力が認められ、人気和食店「なるたけ」などで料理長を歴任。そして2019年1月「元喜」で独立オープンした。

「ずわい蟹とカリフラワーのムース」はだしのうま味が素材の味を引き立てる

「味にとんがりがない料理を作りたいと思っています。インパクトがパンとくる料理じゃなくて、ほっこりする『まあるい』味の料理を作りたいですね」とニコニコ語る岡部さん。そんなまあるい味わいの料理をさっそく紹介しよう。

正統派の和食メニューがズラリと並ぶ中、フランス料理のエスプリがキラリと光るのが「ずわい蟹(ガニ)とカリフラワーのムース」。

フレンチ出身の岡部さんならではのオリジナルメニューだ。

牛乳で軟らかく煮たカリフラワーを生クリームと合わせてムースにしたものに、ほぐしたズワイガニと、薄口しょうゆで味付けしたカツオだしのジュレをトッピング。料理全体の一体感を出すために、ムースやズワイガニにも隠し味的に薄口しょうゆを忍ばせている。

ふんわりとろける真っ白いムースは口に含むと生クリームが控えめで、カリフラワーのほっくりした甘みが優しい。ムースだけ食べるとまるでフランス料理だが、カツオだしのジュレを合わせると、だしのうま味が素材の甘さをより引き立てる和食へと変身する。

「たくさんの素材を複雑に組み合わせた料理は作らないようにしています。1つの料理に使うのはせいぜい2~3種類ぐらい。素材一つひとつの味わいをしっかり感じてもらえればと思います」(岡部さん)

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