非常時の景気 エコノミストはどうやって予測するの?

コロナ危機の影響はどこまで広がるか…(3月28日、東京都のJR渋谷駅前)
コロナ危機の影響はどこまで広がるか…(3月28日、東京都のJR渋谷駅前)

新型コロナウイルスの感染拡大で経済の先行きが不透明さを増しています。景気の現状判断や予測を担うエコノミストは、非常時にどう対応しているのでしょうか。

通常の景気指標に加え、桜の開花日、テレビ番組の視聴率といった身近なデータを使って経済動向を分析する三井住友DSアセットマネジメントの宅森昭吉理事・チーフエコノミストは、「足元のデータを基に景気の先行きを短期予測する手法は非常時でも同じ」と言います。

政府が毎月発表する鉱工業生産指数、有効求人倍率や失業率などのデータを事前に予測しますが、判断材料として重視しているのは内閣府の景気ウオッチャー調査です。2~3カ月先の景気の見方を示す先行き判断DIが2月は24.6となり、リーマン・ショック後の2009年1月以来の低い水準でした。「この時期からコロナウイルスの脅威が迫り、経営者らの間に先が見えない不安が広がった」と解説します。

難しいのは長期予測です。過去のデータをみると、震災の発生時に景気が後退する期間は約3カ月間で、復興需要が生まれる4カ月目くらいから回復する傾向があり、11年の東日本大震災のときも同様でした。しかし、今回は過去の災害時のパターンは当てはまらず、予測は難しいと宅森氏はみています。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の嶋中雄二景気循環研究所長が足元の景気判断で注目する材料は、世界各国の購買担当者景気指数(PMI)です。生産や国内総生産(GDP)の動きに先行するPMIを観測しながら、景気の現状を示す一致指数(CI)を予測します。

一方、長期予測では、過去の景気循環の周期を参考にします。景気循環には一定の周期があると唱える学説は現在でも通用すると言うのです。例えば、50年周期のコンドラチェフの波は、50年の間に社会のインフラが陳腐になり、新しいインフラ投資が活発になるために生じるという説です。「日本の場合、50年周期の波は2000年で底を打ち、20年代後半まで上昇局面にある。コロナ危機の影響は大きいが、インフラ投資の必要性は変わらない」と強調します。

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