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東大オリジナル鉛筆は五角形 独創デザインで人気

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日経クロストレンド

「変なホテル」のブランディングを担当するGRAPHの北川一成氏と共に、広告やパッケージにとどまらない総合的なデザイン戦略の重要性を、実例を基に考える。今回は東京大学のオリジナルブランド「UTokyo Go(ユートーキョーゴー)」。土産として人気が高い商品のデザインの秘密とは。

東京大学のオリジナルブランド

「UTokyo Go(ユートーキョーゴー)」は、東京大学直営のオフィシャルショップ「東京大学コミュニケーションセンター(以下、UTCC)」のオリジナルブランドだ。UTCCは、大学と社会をつなぐコミュニケーションの場として2005年にオープン。東大の研究成果を活用した商品と、オフィシャルグッズを販売している。ショップは東大の本郷キャンパス内にある。

19年5月に第1弾商品として消しゴムとノートを発売し、その後、鉛筆やボールペンもラインアップ。独特なロゴマークを中心にデザインした商品は現代的な印象で、売れ行きは好調だ。外国人観光客をはじめ、学校見学や修学旅行などで訪れる高校生にもお土産として人気だという。「19年の学園祭『五月祭』の1日の売り上げは前年比10%増。UTokyo Goの貢献は大きいと考えている」と話すのは、東京大学本部社会連携推進課(取材時)の島津斉明氏。

19年12月に発売したボールペンも売れている。東大の磯貝明教授らの基礎研究を応用した商品。ゲルインクに、セルロースナノファイバーを配合している。「1日30本から50本売れている。キャンパス内で社会人向けのイベントが開催された日は、140本以上売れたこともある」と同・特任専門員の渡辺留美子氏は言う。

課題:社会と東大をつなぐ方法

UTCCで販売している商品の一つの柱は、サプリメントや化粧品、酒など、東大の研究成果を活用したユニークな商品が中心だ。東大のみの販売なので小ロット生産で、価格も高め。東大に訪れた高校生や観光客がUTCCに立ち寄っても、気軽に購入できる商品が少ないという課題があった。大学なので文具との親和性が高いことから、UTCCのオリジナル商品の開発を検討していた。UTCCのデザイン監修を担当する東京大学生産技術研究所の川添善行准教授は、旧知の仲であるGRAPHの北川一成氏に商品開発の相談をした。

その理由について、川添准教授は次のように話す。「UTCCの本来の目的は、大学と社会の接点をつくること。そのきっかけとしてオリジナル商品を販売している。GRAPHさんとはこれまで何度も一緒に仕事をしており、パスを出せばゴールまで決めてくれるという安心感がある。きっと今回も、UTCC を俯瞰(ふかん)して、新しい提案をしてもらえると思い依頼した」。

検討:ブランド化して存在感を高める

北川氏は、文具を単体で開発するのではなく、ブランドの構築を検討した。「ブランドとして展開して店頭で存在感を高めることができれば、来店客との接点をより多く持つことができるはずだ。今後、様々な企業とコラボレーションしてシリーズを増やすこともできる」(北川氏)。東大の研究成果を活用した商品の価値を伝えるためには、使って体験してもらうことが一番だ。売り上げを伸ばすことは、東大と社会とのつながりを顕在化することでもあると考えた。

東大は14年から「UTokyo」という英文略称のロゴマークを使用している。そのロゴマークをはじめ、赤門、安田講堂などの絵柄を使用した東大公認商品が、東大の生活協同組合の店頭には数多く並んでいる。それらと差異化を図るためにも質の高いデザインが必要だ、というのがUTCCのリクエストだった。

解決策:記憶に残る読みづらいデザイン

UTokyo Goのロゴマークは、行動を促す「Go」という前向きな言葉を使用している。ポイントは「UTokyo Go(東大に行こう)」というメッセージをあえて隠すようにデザインしたことだ。Goの「o」が小さいため、読み方が分かりづらい。それこそ実は、ブランドを少しでも多くの人に「記憶」してもらうための仕掛けである。

ロゴマークを初めて見た人は、スムーズに認知できず多少ストレスを感じる。そのほうが記憶に残りやすいという最新の研究結果があるのだという。「脳はパターン認識が得意なので、どこかで見たことがある分かりやすいものはすぐ認知できる。しかし、その分、忘れられるのも速い。その一方で、分かりづらいもののほうが認知するのに負荷がかかる分だけ強く印象に残り、記憶されやすいといわれている。その考えを参考にしながらデザインした」(北川氏)。UTokyo Goというストレートなメッセージの一部を抽象化したことで、ステレオタイプの東大のイメージとは違う、クールな印象にもなった。

最新のデジタル機器などと一緒に持ち歩いても遜色のないデザインでありつつ、さりげなく遊び心があることも特徴の一つ。Goというネーミングは、合格という意味も重ねて、鉛筆は五角形のものを選んだ。側面には合格を「Go」のマークとして配している。鉛筆を削って側面のマークにたどり着くことに、受験生が「Go」に手が届くという願いを込めれば、たくさん書いてたくさん勉強しようというモチベーションアップにもつながるはずだ。

独創的なデザインに納得できる

UTokyo Goというブランド名とロゴマークを最初に見たときの印象について、東大の渡辺氏と島津氏はこう話す。「これまでのUTCCにはないスタイリッシュなデザインなので、もしかしたら格好良すぎるかもしれないと思った」(渡辺氏)。「フックをつくって印象付ける論理的なコンセプトに共感していたので、私はすんなり受け入れられた」(島津氏)。

価格については、大学内でも議論になったという。「先生や学生からも『高いのではないか』との声は多かった。しかし発売以来、想定以上に売れているので、提案を受け入れてよかったと思っている」(島津氏)。

島津氏は公開講座やオープンキャンパスの運営なども手掛けており、イベントの特設サイトなどにUTokyo Goのバナーを出したり、講座で配布するテキストに広告を入れたり、休憩時間のモニターにUTCCの情報を流したりしているそうだ。「UTokyo Goを立ち上げてから、これまでとは異なる客層にリーチできていると感じる。今後どんな影響が出てくるか楽しみにしている」(島津氏)。

(画像提供/GRAPH)

(ライター 西山薫)

[日経クロストレンド 2020年3月31日の記事を再構成]

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