日経エンタテインメント!

「大きなパイ」をつかみたい

CM業界は、コンプライアンスやネット炎上などの影響で年々窮屈になっていると言われる。浜崎も、とあるCMで炎上を経験したが、業界に息苦しさを感じることはないのか。

「息苦しさを感じることは、正直あります。だんだん、息苦しくなってはいますよね。でも、テレビが誕生して何十年も経つので、CMも含めて規制ができていくのは当たり前。YouTubeだって、これからどんどん規制がかかってくると思うんですよ。この先もずっとそれを繰り返すんだろうなと思います。大事なのは、規制があってもクサらずにやること。そこから逃げない。与えられた条件の中で、いかに面白くするかを考えられる人が、プロなんじゃないのかなと思います。

今、WebにはYouTuberの動画もいっぱいあるじゃないですか。でも、『HIKAKINは知ってるけど、この人は知らない』ってことがけっこうある。Netflixも、人によって見てるものが全然違うんですよね。『全裸監督』みたいな大ヒット作が出ればもっと広がるんでしょうけど、今はコンテンツが多すぎて、何を見ていいのか分からない時代。でもCMは、まだわりと大きなパイをつかんでいて、『あれ見た?』と言うと『知ってる!』とコミュニケーションができる。そんな媒体って他にないですし、だからCMが好きなんです。これからも続けたいです。

今回の映画でも、大きいパイをつかめるといいなと思っています。映画も大作とかヒット作になると、みんなお祭りのように劇場に行くじゃないですか。1つのイベントとして成立して、見た後に会話が生まれる。そんな映画にしたくて、笑いにも気をつけて作りました。狙ったのは、100人いて2~3人笑うギャグより、5~6割が笑えるもの。ただ、コテコテになりすぎないよう作ったつもりです。

時間があったら劇場に見に行きたいです。CMの場合、それを見ている人を見られないけど、映画は見られるじゃないですか。映画を見るっていうより、映画を見ている人を見に行きたいです(笑)」

『一度死んでみた』
2007年から8年間CM好感度1位を独走したソフトバンク「白戸家」シリーズのCMプランナー・澤本嘉光と、15年から19年まで好感度1位に輝くKDDI/au「三太郎」シリーズの浜崎。CM界のヒットメーカー2人が『一度死んでみた』で映画に挑む。売れないデスメタルバンドのボーカルで父親のことが大嫌いな主人公・野畑七瀬には広瀬すず。その父親で野畑製薬社長・計には堤真一。計の秘書の松岡卓を吉沢亮が演じる。ほか、リリー・フランキー、小澤征悦、嶋田久作、木村多江、松田翔太、佐藤健ら豪華キャストが結集。 (C)2020 松竹 フジテレビジョン


父の訃報を聞き、野畑製薬に駆け付ける七瀬。しかし秘書の松岡によると「2日間だけ死んじゃう薬」を飲み、スパイをあぶり出す作戦だった。ライバル会社は、計の蘇生を阻止しようと妨害するが……。(公開中/松竹配給)

(ライター 泊貴洋)

[日経エンタテインメント! 2020年4月号の記事を再構成]

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