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あのCMも浜崎慎治 ヒットメーカーが挑む映画の現場

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日経エンタテインメント!

昔話の主人公たちが登場するKDDI/au「三太郎」シリーズをはじめ、松坂桃李や菅田将暉ら旬の俳優5人を集めた花王「アタックZERO」、堤真一とリリー・フランキーの掛け合いで人気を得た日野自動車「ヒノノニトン」など、数多くの話題作を手掛けてきたCMディレクター・浜崎慎治。ACCグランプリや電通広告賞優秀賞をはじめ、受賞歴は数知れず。CM好感得票数をもとに選出される「CMヒットメーカーランキング」(CM総合研究所発表)のディレクター部門では5年連続1位に輝くトップ監督だ。

これまではプランナーが描いた企画を映像化してきた彼が、今回新たに向き合ったのは「脚本」。タッグを組むのは、電通のCMプランナーとしてソフトバンク「白戸家」シリーズを生み、映画『犬と私の10の約束』(2008年)、『ジャッジ!』(14年)などのシナリオを担当してきた澤本嘉光。浜崎監督が映画監督デビューを果たす『一度死んでみた』(3月20日公開)は、CM界の強力タッグのもと、制作された。

「映画は、いつかはやりたいなと思ってたんですが、オファーをいただいてもなかなかタイミングが合わなかったりして。

今回は、ギークサイト(『ジャッジ!』『来る』などの制作会社)の社長の小佐野(保)さんからまず話がありました。小佐野さんって不思議な人で、僕の人生の岐路に必ず現れる(笑)。その小佐野さんから『やってみませんか?』と渡されたのが、澤本さんの脚本でした。僕は澤本さんとも付き合いが長く、最初はTBSの『Tブー!S』で当時局アナだった田中みな実さんを撮ったり、東京ガスや家庭教師のトライをやらせていただいたりして。その澤本さんとのモノづくりは、僕にとってCMとあまり変わらない『ホーム』という感じがしたので、これはいい機会だな、と思ってお引き受けしました。

脚本を読んで思ったのは、かなり特殊なコメディだなということ(笑)。娘に家業を継いでほしい父親が、一度死んで、幽霊になって娘の前に出てくるという話なんですよ。『お化けか…できるかな』という不安はあったんですが、ベースは父と娘の物語。僕にも娘がいますし、家業を継いでほしい父親の気持ちも分かる気がしたんです。というのも、僕の実家は醤油屋さんなので。たまたまこの作品をやる時に、父親が亡くなったり、何か共感できる部分がたくさんあったんです」

今、求められるのは柔軟性

『告白』の中島哲也、『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八、『ジャッジ!』の永井聡ら、CM出身の映画監督は多い。彼らが映画進出する際、大なり小なり感じてきたのが、業界の壁だ。CMと映画では仕事の進め方や常識、ルールなども異なる。そのためCMディレクターが1人で映画の現場に乗り込むと、スタッフが言うことを聞いてくれなかったり、孤立したりすることもあると聞く。

「映画の現場は完全にアウェイなので、『初めてだから、アイツ分かってないな』と思われると、いろいろ難しいだろうなとは思ってました。でも今回、カメラマン、照明、美術もCMの方にお願いできましたし、大きくはいつもの感じでやれました。助監督は映画の人だったけど、すごく仕事のしやすい人たちを付けてもらったので、やりやすかった。

悩んだのは、尺の感覚です。CMは15秒や30秒なのでスピード感で見せていくわけですけど、それを90分も見せられると、さすがに疲れる。『CMの人間は分かってないなあ』と言われないように、ちょうどいい具合を探りました。

あと、CMと違ったのは、撮影期間。CMは1~2日で終わるので、画作りから何からギチギチに考えて、100%の力でフルスイングしちゃうんですよ。でも、映画は、押さえるところを押さえておけばいい。それが分かってからは撮影が楽になりました。

映画とCMでは、役者の取り組み方が違うことも発見でした。今回、撮影が夜中までかかることもあったんですが、誰も文句なんて言わないんです。CMだとややビジネスライクな面があるから、各方面から『もうそろそろ、終わってもらってもいいですか?』ってなるんですけど(笑)。やっぱり、役者の第一の職場は映画やドラマ。『こっちでは、こうやって演じられているんだな』と分かったし、そこが一番面白かったです」

浜崎は1999年、大学4年の時にサントリー「BOSS7」のCM(クリントン米大統領篇)に衝撃を受けてCM業界入り。2002年に制作会社大手「TYO」に入り、先輩の吉田大八監督の現場でADを経験した。また演出を学ぶため、『ACC年鑑』に載っているCMから、面白いと思った作品を絵コンテ化。カット割りや音楽の入れ方などを研究したという。

そして、賞を取ってチャンスをつかもうと、04年に実家の醤油屋のCMを自主制作。翌年、狙い通りACCでブロンズを受賞し、それを見た電通のCMプランナー・篠原誠氏(現・篠原誠事務所)によって、パイロットや家庭教師のトライなどに起用された。その後、15年に2人で放ったのが、「三太郎」だ。以降、KDDI/auは、5年連続CM好感度1位に君臨する。

「こういうことってあるんだな、って思いましたね。もともとは『企業広告としてやってみませんか?』というお話で始まった仕事でした。それがシリーズ化して、6年目に。飽きさせないようにしなきゃいけないから、なかなか大変です。

三太郎が受け入れられたのは、みんな知ってる昔話のキャラクターなので、とっつきやすかったのかなと。そして、昔話なのに特に何も起こらず、ただダベって終わるという(笑)。その会話を今風に面白くしたっていうのが、新鮮だったのかなと思います。あとは、役者の人たちの貢献度が大きいですね。『こうしたほうがいいんじゃないですか?』という提案が結構現場であるんですよ。CM撮影はコンテを撮るだけになりがちなんですけど、みんなが最後までアイデアを出し合って、『多少、こう変えてもいいか』とか話し合いながら作れている。僕は、そこが普通のCMじゃない気がしますね」

そのような撮り方ができるのは、浜崎と役者、そしてクライアントとのコミュニケーションが取れていて、信頼関係があるからだろう。

「昔のCMディレクターって、頑固な方が多くて、ちょっとでも何か言おうものなら『なにぃ?』って激怒される人が多かった気がします(笑)。でも、今はそれだとついていけない感じが、プランナーにもクライアントにもある。時代も変わっているから、ディレクターは、柔軟に面白いものを作れたほうがいい。

僕が意識しているのは、どんな意見でも一度は耳を傾けることです。『ああ、そう思うんですね』と受け止めたうえで、『でも、こっちのほうがいいんじゃないですかね』と提案していく。俳優の方への演出も同じです。役者には、考えてきた演技プランがある。それをまず拝見して、『もっと、こんなやり方もありますかね?』と修正をかけて、いろんな引き出しをのぞいていく感じです」

「大きなパイ」をつかみたい

CM業界は、コンプライアンスやネット炎上などの影響で年々窮屈になっていると言われる。浜崎も、とあるCMで炎上を経験したが、業界に息苦しさを感じることはないのか。

「息苦しさを感じることは、正直あります。だんだん、息苦しくなってはいますよね。でも、テレビが誕生して何十年も経つので、CMも含めて規制ができていくのは当たり前。YouTubeだって、これからどんどん規制がかかってくると思うんですよ。この先もずっとそれを繰り返すんだろうなと思います。大事なのは、規制があってもクサらずにやること。そこから逃げない。与えられた条件の中で、いかに面白くするかを考えられる人が、プロなんじゃないのかなと思います。

今、WebにはYouTuberの動画もいっぱいあるじゃないですか。でも、『HIKAKINは知ってるけど、この人は知らない』ってことがけっこうある。Netflixも、人によって見てるものが全然違うんですよね。『全裸監督』みたいな大ヒット作が出ればもっと広がるんでしょうけど、今はコンテンツが多すぎて、何を見ていいのか分からない時代。でもCMは、まだわりと大きなパイをつかんでいて、『あれ見た?』と言うと『知ってる!』とコミュニケーションができる。そんな媒体って他にないですし、だからCMが好きなんです。これからも続けたいです。

今回の映画でも、大きいパイをつかめるといいなと思っています。映画も大作とかヒット作になると、みんなお祭りのように劇場に行くじゃないですか。1つのイベントとして成立して、見た後に会話が生まれる。そんな映画にしたくて、笑いにも気をつけて作りました。狙ったのは、100人いて2~3人笑うギャグより、5~6割が笑えるもの。ただ、コテコテになりすぎないよう作ったつもりです。

時間があったら劇場に見に行きたいです。CMの場合、それを見ている人を見られないけど、映画は見られるじゃないですか。映画を見るっていうより、映画を見ている人を見に行きたいです(笑)」

『一度死んでみた』
 2007年から8年間CM好感度1位を独走したソフトバンク「白戸家」シリーズのCMプランナー・澤本嘉光と、15年から19年まで好感度1位に輝くKDDI/au「三太郎」シリーズの浜崎。CM界のヒットメーカー2人が『一度死んでみた』で映画に挑む。売れないデスメタルバンドのボーカルで父親のことが大嫌いな主人公・野畑七瀬には広瀬すず。その父親で野畑製薬社長・計には堤真一。計の秘書の松岡卓を吉沢亮が演じる。ほか、リリー・フランキー、小澤征悦、嶋田久作、木村多江、松田翔太、佐藤健ら豪華キャストが結集。 (C)2020 松竹 フジテレビジョン

 父の訃報を聞き、野畑製薬に駆け付ける七瀬。しかし秘書の松岡によると「2日間だけ死んじゃう薬」を飲み、スパイをあぶり出す作戦だった。ライバル会社は、計の蘇生を阻止しようと妨害するが……。(公開中/松竹配給)

(ライター 泊貴洋)

[日経エンタテインメント! 2020年4月号の記事を再構成]

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