水道水の2000倍 ミネラルウオーターの「水」の値段は値段の方程式

現在、日本には、国産・輸入合わせて1000種類以上もの水が流通しています。消費量も右肩上がりで伸び続けています。2018年の時点で市場規模はおよそ3000億円。消費量も、生産量も伸び続けています。

売れ行きは好調ですが、ペットボトル入りの水は値下がりが激しいです。小売店で重い水を買ったら、持って帰らないといけない。自宅まで配達してくれるネット通販を利用する消費者が増えています。

この20年で値段は半額に

ネットに対抗するため店頭の値下げが広がりました。人気銘柄のサントリー「南アルプスの天然水」2リットルの2020年1月の平均価格は90円。この20年でほぼ半額まで下がっています。

子供のころ、水といえば水道水で、ミネラルウォーターなどは一般的ではなかった、という方は多いはず。ミネラルウォーターが一般的になってきたのは1990年代に入ってから。水道水と比べてしまうと、値段は500倍から2000倍になりますから。高すぎるという意見も出ます。

原価に占める「水」の割合は?

じつは原価のうち「水」そのものが占める割合は低いのです。水源のある土地でミネラルウォーターの生産が始まる。例えばそれが湧き水だったら、それ自体は基本的に何もしなくても出てくるという意味ではタダです。

実際のペットボトルの水の値段にはどういうものが上積みされてるのでしょうか。これに、配送料と、小売店の利益を加えたものがペットボトルの水の値段の方程式になります。3分の1くらいは容器代なので、水の量はほとんど値段に影響しないんですね。

ペットボトルの水は農林水産省のガイドラインで4種類に分けられています。日本で流通しているのはナチュラルミネラルウォーターとボトルドウォーターがほとんど。ナチュラルミネラルウォーターというのがいわゆる「天然水」で加工されていません。ボトルドウォーターは天然水ではなく、人工的にミネラルを加えたり、いろんな水源の水をまぜたりしています。水道水をベースにした商品もある。

ナチュラルミネラルウォーターでもフィルター処理などが施されますが、原価が高くなりがちなのはやはり加工された水の方。例えば「アルカリイオンの水」などは整水器を通すなどの作業が加わります。

ミネラルウォーターは、ペットボトルに入っているので環境負荷も大きくなります。ある資料によると水道水を飲む場合とくらべて、ペットボトルの水は、国産で32倍、輸入製品で48倍、二酸化炭素(CO2)を多く排出するそうです。

値上がり必至の水道料金

水道水は塩素で処理しているために、いわゆるカルキ臭があって、敬遠されがちです。ただ近年、オゾンを使った処理などで味の改善も進んでおり、そのおいしさをペットボトルの水として販売してアピールする自治体も増えています。

安心して飲めるなら頼りになる水道水ですが、こちらも料金は上がっていく傾向にあります。水道設備のインフラは老朽化が進んでいて、そのリニューアルが必要になっていますが、人口減少で利用者は減り、水道収入は下がる一方。リニューアル費用が足りないため、値上げが進む構図です。

1月に和歌山市で大規模な断水を巡って混乱が起きました。これも老朽化した水道管の工事が理由です。日本政府投資銀行は25年後には全国平均で6割の値上げになると試算しています。水道水も事業の経営や設備更新など課題が山積みです。

(BSテレ東日経モーニングプラスFTコメンテーター 村野孝直)

値段の方程式
BSテレ東の朝の情報番組「日経モーニングプラスFT」(月曜から金曜の午前7時5分から)内の特集「値段の方程式」のコーナーで取り上げたテーマに加筆しました。
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