
デビューまで約1カ月となった1月下旬、韓国合宿から帰国した彼らを待っていたのは、スタートを切るための怒涛の展開だった。デビュー前後に発売する多数の雑誌の取材を受けながら、1月31日から始まるファンミーティングの準備も進めていった。
怒涛のメディア露出で話題化
ファンミーティングは、神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールで3公演、大阪・オリックス劇場で3公演の計6公演を開催。ここで『PROTOSTAR』に収録される、『無限大』『Running』『La Pa Pa Pam』新曲3曲のパフォーマンスなどが初めて披露された。冒頭のあいさつでは、緊張のあまりしどろもどろする初々しさもある一方で、オーディション時と比べて格段にレベルアップした歌とダンスを披露。たった1カ月半での大きな変化は、彼らの努力と今後の伸びしろを大きく感じさせるものだった。
ファンミーティング以降も、ファンに対してデビュー前後の祝祭感を盛り上げる企画が用意された。まず、2月17日に公開されたデビュー曲『無限大』のMVでは、再生回数によってスペシャル映像を公開することを約束。27日からは動画配信サービス「GYAO!」で、JO1として初のレギュラー番組『JO1 HOUSE』の配信も始まった。3月3日からは「hmv museum」で企画展『JO1 museum~『PRODUCE 101 JAPAN』デビューまでの軌跡』も開催した。
一方で、ファン以外へのタッチポイント作りも着々と進んできた。
特にファンにとっても予想外だったのが、1月29日に開催された「ルイ・ヴィトン メゾン 大阪御堂筋」のオープニングイベントへの出席だろう。デビュー前のグループが、ハイブランドのイベントに出演し、ステージでパフォーマンスを披露することは極めて珍しい。これは、吉本興業の本拠地という地縁で実現したものだと聞く。パフォーマンスの様子は招待客によって撮影され、インスタグラムやツイッターで拡散。JO1のファン層とは異なる層にも存在をアピールした。
2月2日からはJO1が出演する「ワイモバイル」の新テレビCM「BIG!Y」篇が放送開始。さらに、3月6日からは『ABCマート・NIKE』のCMも始まり、お茶の間への認知度をますます高めていく。
一般への浸透面で大きな強みを発揮するのが吉本興業の持つネットワークだろう。すでに所属タレントの冠番組とのタイアップで、デビュー曲『無限大』が採用されている。崔氏は、全社宛に、JO1の活動報告メールを送っていると話す。「その中で、各部署や各タレントのマネジャーが、様々な提案をしてくれています。歌番組を含めたメディア露出の話を、現在進めている最中です」
結成間もない、伸びしろが十分ある11人
今後の活動だが、「まずは日本から」がJO1のスタンスだ。とはいえ、そもそも海外でも人気の高い『PRODUCE 101』シリーズの出身グループとあって、番組放映中から海外ファンが多く、YouTubeやSNSのコメントには、英語や韓国語、中国語、タイ語など、各国語が並んでいる。現在、海外イベントへの出演も交渉している段階だという。
「彼らは結成して間もないグループです。11人でこれから頑張っていこうと1つになっていますが、スキル面はこれから。海外でも活躍するアーティストのレベルに達するためには、今後も厳しいトレーニングを積んでいく必要があります。逆に言えば、伸びしろが十分ある11人でしょう。ファンのみなさんには一緒に育てるつもりで見守っていただければと思っています」(崔氏)
(ライター 横田直子)
[日経エンタテインメント! 2020年4月号の記事を再構成]