甘酒が調味料に 茅乃舎が仕掛ける「あま糀」

日経クロストレンド

米麹100%の「あま糀」。砂糖やみりんに代わる甘味料として売り込む(写真提供:久原本家、以下同)
米麹100%の「あま糀」。砂糖やみりんに代わる甘味料として売り込む(写真提供:久原本家、以下同)
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うま味調味料や保存料無添加の調味料ブランド「茅乃舎」をデパ地下を中心に展開する久原本家(福岡県久山町)は、このほど新たなブランドを立ち上げた。米麹(こうじ)100%の甘味料が売りの「久原甘糀(あまこうじ)」がそれだ。2019年10月に福岡にオープンした1号店に続き、20年3月には首都圏に進出。甘酒ブームを調味料の分野に広げる戦略だ。

甘酒の市場規模が拡大

ここ数年、甘酒の市場規模が急拡大している。マーケティングリサーチ会社のインテージによると、16年は前年比80%増、翌17年も同58%増と大きく伸長。11年には39億円にすぎなかった市場が、17年には223億円に達した。「水分」「糖分」「塩分」「アミノ酸」「ビタミン」が甘酒に含まれることから、「飲む点滴」として健康意識の高い女性を中心に人気が高まった。

甘酒の市場規模は2016年に甘酒が健康にいいという情報が広まって市場規模が急拡大。17年にピークを迎え、18年以降は小康状態に。19年は192億円だった(出典:インテージ 飲料SRIデータ)

18年と19年はブームが沈静化し、200億円を割り込んで推移しているが、「11年の実に5倍強の市場規模で、一過性のブームで終わりといった状況ではない」(インテージ)。とはいうものの、さらなる消費拡大の起爆剤に欠けていたのが現状だった。

今回久原本家が販売する「あま糀(こうじ)」は、沈静化した甘酒ブームに新たな一石を投じる商品といえよう。あま糀は米に種麹(こうじ)を混ぜて発酵させたもので、甘酒はこれに水を加えて作られるので甘酒の「元」といえる(ちなみに、アルコール分を含む甘酒については、酒かすから作られる)。久原本家はあま糀を飲み物ではなく、砂糖やみりんの代わりに使う甘味料として打ち出す。「甘酒は健康に良いというイメージがあるが、飲用にシーンが限られる。調味料なら、日々の料理に使ってもらえる」(久原本家)。

久原本家が、甘酒ブームを横目で見ながらあま糀の開発を始めたのは、2年以上前だ。「茅乃舎だし」など和風調味料のイメージが強い同社だが、祖業はしょうゆの醸造。「くばら」のブランドで、一般流通向けにしょうゆやだしの販売も行っており、麹と発酵の技術を有していた。このノウハウを生かし、地元九州産の米を使って発酵だけで甘みを引き出すあま糀を開発した。

あま糀は液状で甘酒を濃縮したようなとろみがある

あま糀はとろみの付いた乳白色の液状で、甘酒よりも濃いめの甘みがある。といっても、砂糖と比べれば控えめだ。甘酒の中には米粒が残るものもあるが、あま糀はざらつきがない。米麹100%のため食物繊維を多く含むものの、調味料として使っても違和感がないよう滑らかな舌触りにしたという。

砂糖やみりんの代わりに料理に使えるほか、シロップ代わりに飲み物に入れたりデザートにかけたりする使い方も提案する。先行販売している福岡では「同じ発酵食品であるヨーグルトにかける提案が好評」(久原本家)だという。健康のためにヨーグルトを食べている人にとって砂糖を使ったシロップをかけるのは後ろめたさがあるようだ。栄養素を多く含むあま糀なら、罪悪感を感じずに済むというわけだ。

ヨーグルトにかけたり
パンに塗ったりする食べ方を提案する

発酵調味料として用途を拡大

あま糀は400グラム入りで税込み1242円。日持ちは冷蔵で30日間という。400グラムという容量は、30日間で使い切れる量から導き出されたという。調味料としては高めの価格設定のため、今後はお試しサイズとして200グラムの商品も追加する予定である。

加工すれば常温保存も可能だが、「米麹100%というあま糀の良さを最大限引き出すには冷蔵がいい」(久原本家)。すでに茅乃舎ブランドで直営店網を構築しており、強みを生かせると判断した。1号店は地元・福岡の百貨店「大丸福岡天神店」で、19年10月に出店。20年3月22日には「玉川高島屋S・C」(東京・世田谷)に2号店を出店し、首都圏への進出を図る。玉川高島屋では茅乃舎の既存店舗と隣接し、相乗効果を狙う。

(日経クロストレンド 佐藤嘉彦)

[日経クロストレンド 2020年3月26日の記事を再構成]

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