入社数年の転職にコロナの逆風 成功に必要な3要素

「逆に失敗しやすいのは『楽そうな仕事をしたい』『もっと有名な企業で働きたい』など、仕事の本質ではなく表面的な部分で企業を選ぶ転職です。表層的な希望をかなえること自体が目的になり、その会社でキャリアを築くことを深く考えずに転職したため、ちょっとした壁にぶつかると折れてしまいます」

「『楽そうな仕事を希望しても部署の異動で大変になるかもしれない』『今、有名な企業も今後ずっと有名であり続けるかは分からない』と考えたときに、『その会社や仕事を通じて自分は何を成し遂げたいのか』『自分のキャリアや仕事を通じて社会にどう貢献したいのか』を考えて仕事を探すことがより重要になります」

――若手転職希望者の相談にどう対応していますか。

「当社では、入社してから間もない若手社員から転職相談を受けた場合、『なぜ転職したいか』『転職したい理由は社会一般としてよくあることか』をまず聞き取るようにしています。『社会一般としてよくあること』とは、例えば『社内に友達ができない』『残業がある』『仕事が終わるまで帰れない』といったことです。こうした理由から転職すると、転職先でも同じことを繰り返すことが予想できるので自制を促します」

「友人の話やSNSで『毎日18時に退社』『社費で海外留学をした』『同僚とプライベートでも仲良く出かける』といった書き込みを目にすると、『自分もそういう会社に行きたい』と思ってしまいがちなのも最近の若者の特徴です。少し上の世代からすると『その理由で転職するの?』という理由で転職を考えてしまうことも多いため、転職を勧めるのではなく、その後のキャリアアップにつながるよう、場合によっては転職しないという選択肢も提示します」

「また、若年層は高収入、休日の多さ、在宅・リモートワークなど柔軟な勤務形態、女性が活躍しやすい環境など、すべての条件を満たしたいという気持ちがとても強いと感じています。これもSNSで他人の情報に日々接していることと関係があるのでしょう。現実にはすべての希望をかなえることは難しいと理解してもらったうえで、優先順位をつけて、転職しないことも含めて一緒に考えていくようにしています」

新型コロナ、採用止める動きも

――新型コロナウイルス感染拡大による影響はありますか。

「業績に大きな影響を受ける企業が多く、これまで活況だった転職市場も潮目が変わってきています。小売りやイベント関連の会社など影響が特に大きい業種や金融大手のようにコンプライアンス(法令順守)を重要視する企業はすでに採用を止める動きが出ています。当然、若手の転職にも影響があるでしょう」

「長期的には、日本での労働力不足は変わらないので、中途採用の増加が続くと思います。ただ短期的には、人員を絞り込む動きが強まり、未経験者を歓迎する企業が減ったり、求人自体が減ったりするでしょう。こうした時期は、体裁を整えただけの志望動機を語ってもすぐに見抜かれてしまいます。現在の仕事と自分にきちんと向き合ったうえで、次のステップをじっくり考えることが今、必要なのではないでしょうか」

沼山祥史
エン・ジャパン執行役員。2005年明大経卒、エン・ジャパン入社。「エン転職」営業、新規事業プロジェクト営業責任者、人事部門責任者、派遣会社支援事業部長を経て2018年から現職。

(日経キャリアNET編集チーム 宮下奈緒子)

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