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エン・ジャパンの沼山祥史執行役員

エン・ジャパンの沼山祥史執行役員

新入社員を迎える4月。かつては長い会社人生の第一歩を歩み始める季節だったが、最近は新卒で就職した会社から数年以内に転職するケースが増えている。若年層に転職が広がる背景に何があるのか、また短期間で転職する際の注意点などを人材サービス大手エン・ジャパンで人材紹介事業部長を務める沼山祥史執行役員に聞いた。

◇  ◇  ◇

――入社して数年以内の転職が増えているようですね。

「総務省によると、2019年の24歳以下(15~24歳)の転職者は約70万人で、4年前に比べて約3割増えました。転職者比率(全就業者に占める転職者の割合)は他のどの世代よりも高い12%強でした。当社の転職サイトに入社3年以内で登録した人数で比較しても、19年は16年に比べて約2倍になりました。企業でも若年層へのニーズが高く、19年の『入社3年以内の第二新卒を歓迎』とする求人数は16年比でほぼ2倍に増加しました。ここ数年、入社から短期間での転職が増加傾向にあるといえます」

――何が原因なのでしょうか。

「まず入社3年以内の世代のバックグラウンドを押さえておく必要があります。第1に、中学生のときにスマートフォン、高校生ではSNS(交流サイト)が当たり前だったデジタルネーティブ世代だということ。第2に16年以降、団塊世代の退職で人手不足が一気に加速し、新卒採用のニーズが高まった時代に社会に出たこと。第3に過酷な労働を強いるブラック企業への批判が高まり、働き方に対する意識が大きな変化を迎えた時代に就職活動をしたということ。この3つが互いに関連し合い、若手の早期退職につながっているとの印象です」

「残業」と「やりがい」が転職理由

「若手の早期離職者の転職理由として、真っ先に上がる要因が『思ったより残業がある』『仕事にやりがいを感じられない』の2つです。売り手市場だった就職活動当時、優秀な新卒を採用しようと、多くの企業が『休みが取りやすい』『残業が少ない』などと、ワークライフバランス(仕事と生活の調和)のよさを学生に強調しました。その反動で入社後、ギャップを感じやすい面があるといえます。SNSで同世代の情報が簡単に手に入る今、隣の芝生が青く見えてしまい、転職につながるケースも目立ちます。違う会社の同期が休みを満喫したり、柔軟な働き方をしていたりするのを知ると『自分はなぜこんな大変な職場にいるのだろう』と考えがちです」

「仕事のやりがいについてもデジタル世代であることが大きく影響しています。この世代は仲間とのつながりを非常に重視し、他人に『いいね!』と認められたい気持ちが強いという特徴があります。就職の企業選びでも『他人の役に立つ仕事か』『他人から評価される仕事か』が大きな価値基準になっているため、入社後に『誰かの役に立っている』と実感できなければ早期離職につながりやすくなります」

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