ポルシェ・カイエン クーペ 納得のパンチ力と操縦性

2020/5/3
ルーフまわりの処理によって「カイエン」よりも車高が20mm低められている。コイルサス車で210mm、エアサス車で190mm(標準時)という最低地上高の数値は共通

オプションがほしくなる仕組み

これがスポーツプラスモードとなると、アシはいよいよガッチリと固められて、エンジンも電光石火で吹ける。それでも、車体のどこからも低級音やオツリめいた振動がほとんど看取できないのはたいしたものだ。

ただ、最硬となるスポーツプラスモードのアシは、公道レベルのグリップや速度では、いかに鋭いエンジンレスポンスをもってしても、なかなか想定どおりの入力にならない。山坂道で意図的に振り回しても、ヒョコヒョコとした上下動がおさまらないままタイヤだけで走っている感が強い。このモードが真価を発揮するのはおそらくサーキットか、かなり特殊な超高速ワインディングだろう。ただ、そういう場所で本格的にムチを入れると、おそらくタイヤもブレーキも物足りない。……で、いろいろとオプションがほしくなってくる(笑)。

これらノーマル、スポーツ、スポーツプラス……といった走行モードは、ステアリングホイールのホーンボタン右側に備わるダイヤルで切り替え可能で、それに合わせてPASM、パワートレイン、エキゾーストシステムなどが同時に切り替わる。ただし、コンソールの独立スイッチを使うと、それぞれを個別に設定することも可能だ。

ステアリングのセレクターとは別に、センタースクリーンを介してオフロードモードの設定もできる

100万円高ならお買い得

現時点でも最高出力550PS、最大トルク770N・mの「ターボ」があり、おそらく将来的にはさらに過激な「ターボS」まで想定しているカイエン クーペのシャシーと駆動系にとって、V6シングルターボ程度はまったくもって余裕シャクシャクである。

とはいえ、そんな素カイエン クーペでも最大トルクは450N・m。絶対的にはかつての4~5リッター級のパンチ力はあるわけで、積極的に踏んでいけば、いかにもよくできた後輪駆動ベースのトルクスプリット4WDらしい走りを披露してくれる。

安定しつつも回頭性はきちんとあり、後ろからスムーズに押し出すように曲がっていく操縦性は、まさに教科書どおりである。その硬質で剛性感にあふれて、素直な操縦性はなんとも滋味深く、ツルシのポルシェらしい味わいである。

軽負荷時にはクラッチを切り離して燃費を稼ぐコースティング機能を備えている。約440kmを走行した今回のテストでは満タン法で7.8km/リッターの燃費を記録した
中央のメカニカルなエンジン回転計と左右の液晶スクリーンで伝統の5連メーターを再現。液晶部分にはマップなどを映すこともできる

そんな素カイエン クーペは同じエンジンを積むカイエンに対して約100万円高となる。安くはないが、大径タイヤ、PASM、スポーツクロノパッケージ、ガラスルーフ……といったエクストラ装備が追加で標準化されていることをを考えれば、ポルシェ基準ではまあまあ適正ということになるのだろう。

ポルシェによると、カイエンシリーズ全体におけるクーペの販売比率はおよそ3割を見込んでいるというが、個人的にはもっと高くてもいいと思う。普通のカイエンはもはや定番商品化しているので、良くも悪くも真正面から実用的なパッケージレイアウトが求められる。よって、その真面目なパッケージをちょっと犠牲にしたクーペは、あくまで傍流モデルというあつかいになるんだろう。

ただ、いまだに「ポルシェ=911」というイメージがこびりついた門外漢の中高年(=筆者)にしてみれば、せっかくポルシェのSUVを買うなら、少なくともこのクーペくらいの遊び心と911感があったほうが、しっくりと納得できるというものだ。

(ライター 佐野弘宗)

■テスト車のデータ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4931×1983×1676mm
ホイールベース:2895mm
車重:2070kg
駆動方式:4WD
エンジン:3リッターV6 DOHC 24バルブ ターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:340PS(250kW)/5300-6400rpm
最大トルク:450N・m(46.1kgf・m)/1340-5300rpm
タイヤ:(前)275/45ZR20 110Y/(後)305/40ZR20 112Y(ピレリPゼロ)
燃費:--km/リッター
価格:1135万6481円/テスト車=1384万7784円
オプション装備:ボディーカラー<マホガニーメタリック>(18万2315円)/インテリア<スレートグレー×スムースレザー仕上げ>(54万8983円)/スポーツエキゾーストシステム(47万3612円)/フロアマット(3万0556円)/シートヒーター<フロント>(7万2315円)/コンフォートアクセス(19万2500円)/自動防げんミラー(6万0093円)/アルミニウムインテリアパッケージ(12万9352円)/PDLS付きLEDヘッドライト(14万8705円)/ソフトクローズドア(11万7130円)/ヘッドアップディスプレイ(24万4445円)/14way電動コンフォートシート(20万7778円)/プライバシーガラス(8万3519円)/リアセンターシート(0円)

[webCG 2020年4月1日の記事を再構成]

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