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野菜メニュー主体のレストラン「WE ARE THE FARM」の看板食材はケールだ

野菜メニュー主体のレストラン「WE ARE THE FARM」の看板食材はケールだ

4月1日に東京・銀座でサラダとスープ主体のファストフード店「FARM TO GO(ファーム トゥ ゴー)」がオープンした。自前農場と野菜レストランを一体運営する「ALL FARM」の新業態店だ。豊洲の大型商業施設内にも近々、野菜メニュー主体のレストラン「WE ARE THE FARM(ウィー アー ザ ファーム)」の新店舗を開く。一軒家タイプのレストランを中心に展開してきたこれまでとは異なる取り組みで、自前農場の野菜に強みを持つ同社と消費者との接点がさらに広がりそうだ。

野菜を売り物に据えたレストランは増える傾向にある。しかし、実際に訪れてみると、ビュッフェ形式のサラダが看板メニューといった、工夫に乏しいケースが珍しくない。仕入れた野菜を使っているせいもあってか、スタッフに産地や農法を尋ねても、要領を得ないことが起こり得る。しかし、「WE ARE THE FARM」ではスタッフが品種をすらすら答え、時には畑の様子まで語り出す。アルバイトを含め、全スタッフが農場で畑仕事に取り組む同社ならではの一体感だ。

「食の安全・安心」への意識が一段と高まっているが、野菜に関しては消費者側の理解が十分ではない面がある。たとえば、現在、日本で主に流通しているF1種について、きちんと説明できる消費者はそう多くないだろう。スーパーの売り場にF1種の説明書きが添えられることもまずない。「WE ARE THE FARM」を運営するALL FARMの古森(ふるもり)啓介社長は「固定種は単純においしい。だから、食べてもらいたいし、残していきたい」と、固定種に特化する理由を語る。

F1種の強みは「育てやすい」という点だ。つまり、生産者・農家にとってのメリットが大きい。サイズや見た目に統一感があるので、流通・販売にも便利だ。色や形のきれいな野菜は消費者にも好まれやすい。だが、そういった「都合のよい性質」は次の世代に受け継がれないので、農家は毎度、種苗を買うことになる。一方、固定種は作物から種子を残して、次世代を育てていく。種子を継承する手間が掛かり、種苗会社から種子を買えば済むF1種に押されて、日本では少数派になっていった。

農場をあちこちに設けて、収穫量を増やせば、もっと手広くレストランを展開できるだろう。だが、そのやり方は「WE ARE THE FARM」の主義になじまない。店舗スタッフが行き来しやすい距離にはおのずから制約がある。収穫したばかりの野菜を、鮮度を保ったまま、店舗へ運び込むのにも、レストランから遠すぎる農場は向かない。「農場とレストランは一体の関係」という前提条件を満たしつつ、作物の幅を広げられる場所を、古森氏は丹念に探し続け、新たに群馬県安中市で意中の場所に巡り合った。

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