レモン味のタレや新味の調味料 巣ごもりは家焼き肉で
20年上半期食品ブレイク予測
ここ数年、国内の焼き肉市場は右肩上がりで、外食焼き肉チェーンの売上高はほぼ毎月前年を上回っている。ただし、2019年10月に消費増税となり、今後もこの傾向が持続するかは予断を許さない。
しかも新型コロナウイルスの影響で外食や外出を自粛するムードが広がっている。こうなると家で焼き肉を楽しむ家庭が増える可能性は高い。
こうした家焼き肉市場の伸びしろを背景に、日本アクセス春季フードコンベンション2020「バイヤーズグランプリ」(記事末参照)でも家庭用の焼き肉関連商品が上位に入賞した。それらを含め日経トレンディ編集部の注目商品を紹介する。
黄金の味シリーズで32年ぶりに出た待望の新味
焼き肉のたれで国内トップのシェア約5割を誇るエバラ食品工業が動いた。主力の黄金の味シリーズで32年ぶりの新味となる、「黄金の味 さわやか檸檬」を投入したのだ。
黄金の味といえば、リンゴ、桃、梅をブレンドしたフルーツベースの甘みが特徴。そのどろっとした濃い味が支持される一方で、「焼き肉をさっぱり味で食べたい」という層が一定数いることも自社調査から浮き彫りになっていた。そこで、原料にレモンを加え、大半の焼き肉のたれで使用されているニンニクを使わない、爽やかな風味のたれを新開発。昨今、レモンサワー、レモネードなどで人気がうなぎ登りのレモンの力を借り、若者層や女性層まで一気に囲い込みを図る。
●レモン風味で脂身の多い肉にも合う
リンゴや桃、梅にレモン果汁、レモンピール、レモンエキスを加えた焼き肉のたれ。バイヤーズグランプリ 加工食品部門ランキングで1位となった。
黄金の味シリーズは1978年に登場し、80年代に他の味を出したが不発。以来32年間新味を出せず、これは待望の新作だ。ニンニク不使用のため、においが気になる人も安心。牛の赤身肉の他、豚トロなど脂身の多い肉にも合う。
●果実と野菜を50%以上使用 人気の「超」シリーズのたれ
具材をたっぷり使った人気の「超」シリーズに、焼き肉のたれが新登場。下ろしたリンゴや玉ネギなど果実と野菜を総重量の50%以上使い、自然のうまみと甘みを凝縮。19年に発売した「超おろしのたれ」は3カ月で年間販売目標を達成するなど「超」シリーズは好調をキープ。
家焼き肉狙いの他商品も続々
家焼き肉のポテンシャルに目を付けているのは、他社も同様。ハウス食品は、最近伸長著しいチューブ入り調味料の新カテゴリーとして、黒コショウにニンニクと玉ネギを加えてペースト状に加工した「禁断の黒胡椒」を発売した。子供がいるファミリーを意識して甘めのたれが多い中、辛みが利いた大人味で勝負に出た。従来のたれと交互に使ったり、たれにちょい足ししたりするなど、「味変」ニーズに応えて家焼き肉の楽しみを広げる役割も担う。
●ピリッと辛い大人味の焼き肉が楽しめる
カレー加工食品が得意なハウス食品が、カレーにも使われる油にスパイスの風味を移すテンパリングという手法で、黒コショウ、玉ネギ、ニンニクの香りと風味を油に閉じ込めペースト状に。大人味の焼き肉が楽しめる。バイヤーズグランプリでも注目を集め、加工食品部門ランキングで6位となった。
●画期的なペースト状のチューブ入り唐辛子
今までにないペースト状のチューブ入り唐辛子。塩漬けで熟成した唐辛子を使用し、辛みとうまみを凝縮。
「バイヤーズグランプリ」
大手食品卸の日本アクセスが20年1月に開催した、東西会場で延べ1126社が出展する大型展示商談会「フードコンベンション」の特別企画。雑誌「Mart」読者会員が選ぶ「Mart新商品グランプリ」のプロ版で、エントリーした75の新商品に、スーパーやコンビニなど流通各社の食品バイヤーが投票。加工食品、チルド食品、冷凍食品、アイスの4部門で得票数が多い。
[日経トレンディ2020年4月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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