旭化成不レジ「アトラス築地」 駆け込み着工で161戸
今回の目利き 村田真氏
東京都中央区は2019年7月、区内の16地区で定めた地区計画を変更し、住宅開発に対する容積率緩和制度の廃止に踏み切った。定住人口の増加を抑制し、生活利便施設や公益施設の充実を図ることが目的だ。
制度廃止の直前には、マンションの駆け込み着工が相次いだ。旭化成不動産レジデンスが売り主で、野村不動産アーバンネットが販売提携する高層マンション「アトラス築地」もその一つだ。
敷地は東京メトロ日比谷線の「築地駅」から徒歩3分。築地本願寺の裏手で、築地場外市場にも近い。銀座四丁目交差点から1キロメートル圏内に位置し、5駅6路線の利用が可能な好立地だ。
4周を道路で囲まれたほぼ1街区約1900平方メートルの敷地だが、従前は道路の幅が狭く、老朽化した住宅や店舗が密集し、その間を路地状の私道が縦横に通り抜けていた。共有の私道を廃止するには地権者全員の同意が必要となり、登記簿上の地権者38人に加え、相続未登記や私道持ち分の売却忘れなどで実際の関係権利者は100人を超え、街区の時間は止まっていた。
17年秋から開発に関わった旭化成不動産レジは、わずか1年でその全員を個別に説得し、等価交換によるマンション計画について同意を取り付けた。容積緩和制度が廃止される情報が伝わり、「地権者の尻に火がついた」と開発担当者は話す。
指定容積率500%に100%の割り増しを得た建物は地上11階、地下1階建てで総戸数は161戸。事業協力者用の36戸の大半を5階以下に集約し、上層階を中心に販売用の125戸を確保した。別に店舗が6戸あり、竣工は21年10月の予定だ。
購入者層は都心に通勤する「パワーDINKS」を想定し、プランは2LDKと3LDKを主体に絞り込んだ。90平方メートルを超える住戸は設けていない。
3月上旬に開始した第1期50戸の販売価格は6990万円(55平方メートル)から1億4770万円(82平方メートル)までで、8000万円台が最も多い。平均坪単価は505万円と高めだが、全住戸に申し込みが入り、46戸が契約済みだ。ただ第2期販売は新型コロナウイルス感染拡大の影響で未定だ。
(日経BP 日経クロステック編集 シニアエディター)
[日経産業新聞2020年4月2日付]
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