ボルボXC90 緻密なデザイン、先進安全機能も強化

2020/4/26
初のビッグマイナーチェンジとなったボルボXC90を試乗、進化の度合いを確認した(写真:向後一宏、以下同)
初のビッグマイナーチェンジとなったボルボXC90を試乗、進化の度合いを確認した(写真:向後一宏、以下同)
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2019年に全ラインナップを新世代に移行させたボルボだが、攻勢の手を緩めるつもりはないようだ。プレミアムブランドとしてのボルボの“元祖”である「XC90」が初のビッグマイナーチェンジを受けた。箱根の山中でその進化の度合いを探った。

レクサスに迫る販売台数

2010年に吉利(ジーリー)が筆頭株主となってから4年後の2014年、2代目となるXC90のワールドプレミアを境に、ボルボが新しい歴史を歩み始めたことは皆さんも承知されていることだろう。

吉利のポートフォリオも巻き込んで企画された新たな2つのアーキテクチャーを基に、最小の手駒で最大の効果を得る。たとえば、内燃機は4気筒のみの設定とするなど、その取捨選択の大胆さに当初は誰もが驚かされた。が、結局はその決断に時代がついてきた形になっているのは見事としか言いようがない。しかもその引き算はブランド価値を毀損(きそん)するどころか、単なる拡張という言葉では片付けられないほどの成果をもたらしたわけだ。

ちなみにボルボの2014年の総販売台数は約47万台。それに対して2019年は70万台を超えるほどに成長している。伸び率的に言えば、ドラスティックなブランディングが奏功した2000年代前半のアウディにも匹敵する勢い、そして現状の台数規模はレクサスに近づくほどだ。そしてこの成功の契機となったのが、新しい意匠を軸とするイメージチェンジであることに疑いはない。

最小限の“お化粧直し”

フォルクスワーゲン(VW)からヘッドハントされたトーマス・インゲンラート氏を軸に、ベントレーやアウディといったVWグループのデザイナーが移籍してボルボの新しいデザイン体制が築かれたのは2012年のこと。長きにわたり、慎重にボルボのデザインを角から丸へと整えてきたピーター・ホルバリー氏の流れをくみながら、モダンクラシックの要素を加えた新しいデザインランゲージは2013年のフランクフルトショーに出展されたコンセプトクーペによって示され、翌2014年にはすかさずこのXC90に忠実にフィードバックされた。

マイナーチェンジでバンパーの形状が改められた。ドットパターンのグリルは「R-DESIGN」専用
リアバンパーも新デザインに。「R-DESIGN」では下部にディフューザー状のアクセントが加えられる

以来、新世代のSUVファミリーとセダン&エステートファミリーがひと通り出そろったのが2019年の話になる。一般にもようやく新しいボルボのイメージが浸透してきたというところだろうか。そして押しの強さを競うばかりにグラフィカルなフロントフェイスが氾濫してきたプレミアムカテゴリーにあって、優しげなボルボのデザインは少なからぬ影響力を持っているようにも思う。

と、そんな環境下で初のビッグマイナーチェンジを迎えたXC90。好調の源泉だけあってアピアランスは安易にいじることなく小変更にとどめている。精緻さを高めた新しいフロントグリルはエンブレムがフラットデザインとなり、リアバンパーはエキゾーストフィニッシャーがインテグレートされたデザインへと変更……と、これらは「モメンタム」や「インスクリプション」「エクセレンス」といったグレードのフィニッシュだ。さらに「R-DESIGN」は専用グリルやウィンドウモールなどをグロスブラックで引き締めたほか、下部にディフューザー仕立てのアクセントが添えられた専用のリアバンパーを採用する。加えて日本仕様ではポルシェのスレートグレーにも似たサンダーグレーという新色が設定されている。

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