店頭で試し履きしたときは特段、痛みを感じなかったのに購入後、履いてみると、どうも足になじまない。そんな体験をお持ちの方もいるだろう。一筋縄ではいかない靴選びだが、最新の3D足型計測と目利きの接客で、ジャストフィットの一足を提案するサービスを伊勢丹新宿店メンズ館が始めた。果たして理想の一足に出合えるのか、実際に体験してみた。
このサービスは「YourFIT365 ISETAN MEN'S(ユアフィット365 イセタンメンズ)」。まずは店頭にある3D足型計測機に片足ずつ裸足(はだし)でサイズを測定。
その上で自分の好みの靴のデザインや色、靴底のタイプを入力すると、足型測定データをもとにメンズ館の約20ブランド400種の靴の中から、おすすめの何足かをセレクト。その結果を踏まえ、社内資格で目利きとみなされた「シューカウンセラー」のスタッフと対話しながら「ベストの一足」を絞り込んでいく。足型測定におよそ30秒、その後の絞り込み作業を含め所要時間は30分程度だった。
「短時間で高精度なマッチングを実現できたのは、メーカー側に靴を作る際の木型データを提供してもらえたことが大きい」と同メンズ館紳士靴バイヤーの田畑智康さんは明かす。オーダーメードではなく、店頭に並ぶ数ある靴の中から、自分に合う一足を短時間で見つけ出せるのが、このサービスのミソだろう。
足のサイズといっても、足の指先からかかとまでの長さ(足長)や足の幅(足囲)がある。実際に自分の足を測定してもらうと、左右で数字が微妙に違った。かかともやや細めだったせいか、足の長さはマッチしていても、かかとが抜ける感じがした。微妙なサイズ違いの靴を何度か履き比べることで、ジャストフィットの一足へと近づけていく。
国内ブランドではリーガルやスコッチグレインなど、海外はバーカー(英国)、バーウィック(スペイン)など現在計約20ブランドの木型データを把握、「今後、さらに増やしていく予定」(田畑さん)という。三越伊勢丹の専用アプリをダウンロードしておけば、いつでも自分の足に合う靴を探し、購入できる。
多少、大きめでも靴ひもで調節すれば、自然と慣れてしまうため、そのまま履いていたが、もう我慢する必要はなさそうだ。新型コロナウイルスの感染拡大防止策として「新しい生活様式」の実践が始まっているが、靴選びの手法もまた一歩、進化した。
(堀威彦)

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