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たらスパ誕生60年 渋谷でさらに進化し、専門店登場

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和風スパゲティの中でも定番の「たらスパ」。その専門店「東京たらこスパゲティ」が今年1月、東京・渋谷にオープンした。今は新型コロナの影響のため静かに終息の日を待つばかりだが、たらこスパゲティの専門店ということで、ネット民たちの間で話題を呼んでいる。モチモチの生パスタにだしをかけてスープパスタのようにしたり、豆乳にたらこを加えて「カルボナーラ」風にしたりと、そのメニューはまさに"進化系"だ。

同店を経営するのは全国でカジュアルイタリアンの業態を展開するフィルドテーブル(東京・千代田)。同社はとんかつ専門店「かつや」や「からあげ縁」などを手がけるアークランドサービスホールディングス(東京・千代田)のグループ会社である。

「この場所はもともと『かつや』が出店していて、その跡地にどの業態で出店しようかと考えたときに、ここ2~3年、世の中で店舗数が増えている和風スパゲティの業態が候補に挙がってきました。ただ後発でやるには特色がなければなりません。私たちのグループではからあげ専門店など、料理を絞り込んで多店舗化するのを得意としています。そこで和風スパゲティも深く掘り下げていった結果、『たらこスパゲティ』に行きついたのです」

そう語るのはフィルドテーブル社長の中島宗則さん。たらこスパゲティは誰もが知っている、親しみのある味。「どこか古臭く『ダサい』イメージもある」(中島さん)ゆえ、高級店ではなく親しみを持ってもらえ、飲食店として敷居が低く見えるのは有利に働く。また、15年間運営してきたイタリアンのパスタのノウハウも生かせると考えた。

ただ、料理を絞り込むだけでは特色としては不十分だ。定食のようにお盆で提供し、お箸で食べさせるスタイルは既存の和風スパゲティの店でも行われている。より特色を出すために行ったのは、たらこスパゲティを「和風」ではなく「和食化」させることだった。

「一番人気の『炙りたらこのお出汁スパゲティ』はお茶漬けから、『とろろ明太 大葉のソース』はとろろそばから、『白味噌と豆乳の明太クリーム』は味噌煮込みうどんとひもかわうどんから、それぞれヒントを得ました。ひもかわうどんは群馬県名物の幅広の薄い麺で、イタリア・トスカーナ州でよく用いられるパッパルデッレというパスタに似ています。和食を分解してイタリアのパスタとの共通点を見つけ出し、まとめ直す作業を行いました」

こうして生まれたたらことめんたいこを使ったスパゲティのバリエーションは現在、10種類。この中から一番のオススメの「炙りたらこのお出汁スパゲティ」を食べてみた。

たらこをあえた生パスタの上にはあぶったたらこ、シソ、アサツキ、ミョウガ、ノリなどがのっており、だしが入った土瓶が添えられている。彩りも美しく華やかで、我々が知っているたらこスパゲティとは見た目からしてまるで違う。

最初は薬味を混ぜずに普通のたらスパとしていただく。生パスタは小麦の風味がよく引き立っていて、モチモチとした食感がクセになりそう。たらこのプチプチとした食感とよくマッチして、とてもおいしい。

次は薬味と混ぜて。香味野菜のシャキシャキとした食感や複雑な味と香りが加わり、さっぱりと食べられる。

さらにだしを注いで「お茶漬け」感覚で。いや、パスタなので、「スープスパゲティ」ということになろうか。透明なだしを注ぐと、たらこと乳化して白濁したスープになり、めんたいこをのせた博多ラーメンのようでもある。生パスタはアツアツのスープを注いでもコシがあり、最後までおいしくいただけた。

だしは、おわんが添えられているので、そのままスープとしても飲んでもよい。香り高く、コンブとカツオ節から丁寧にとっていることがよく分かった。

私はここで満腹になってしまったが、残っただしに別注文の「しょうがの炊き込みご飯」を入れて雑炊として楽しむこともできる。これは「つけ麺」を食べた後のスープにご飯を入れる「ご飯割り」の感覚だ。

このように名古屋名物のうなぎの「ひつまぶし」のように、いや、それ以上に1つの料理で3度も4度も変化が楽しめるのだ。

「オリジナルで開発した生パスタは希少な国産硬質小麦を使用しており、しっかりと小麦の味がするのが特徴です。モチモチとした食感を出すため、また、熱いだしをかけても伸びないように『タピオカ粉』を混ぜ込んで打っています。たらこは選別された皮の薄い高級グレードのものを軽くあぶってレアな状態で、できるだけ焼きたてを出すことにこだわっています」と中島さん。

開発に苦労したのは「素たらこスパゲティ」と名付けられた、私たちがよく知るスタンダードなタイプのもの。具が入っていない『素うどん』やもりそばのように、シンプルであるがゆえに素材そのものの味がわかる一品だ。

「お客さまから『普通のたらこスパゲティをください』といわれると思ってメニューにのせることにしました。たっぷりたらこを食べていただきたいのですが、そうするとどうしても塩辛くなってしまう。そのバランスのとり方に苦労しました。オオバを混ぜ込んだ高級な発酵バターを添えることで、味に丸みをつけ、ちょうどよい塩気に感じられるようにしました」(中島さん)

さて、たらこスパゲティが生まれたのは1960年代。その発祥の地は渋谷だという。スパゲティ専門店「壁の穴」がキャビアのパスタから着想を得て編み出したという。

「『たらこスパゲティ』を画像検索すると、たらこをまぶして、シソやノリを散らした同じような写真ばかりがズラリと出てくるんです。つまり、誕生以来、何も変わっていない。それだけ、素朴で完成度が高いともいえるし、誰も変化を望んでいないともいえます。これを違った形で提案することは勇気がいることでした」(中島さん)

いわれてみれば、海外の料理から派生して日本独自の発展を遂げたカレーやラーメンにはさまざまなバリエーションがあるのに対し、同じく海外の料理から派生したたらこスパゲティは約60年間、ほとんど「進化」していない。だが、「誰も変化を望んでいない」わけではなかった。

昭和生まれのたらこスパゲティが令和になって発祥の地・渋谷で「進化」を遂げた。今は、新型コロナ感染防止のための外出自粛により渋谷の街も閑散としているが、終息した暁にはその進化した姿、ぜひ目と舌で味わっていただきたい。

(ライター 柏木珠希)

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