日経doors

2020/5/4

「生理痛が重くて私生活に支障をきたしたり、仕事のパフォーマンスに影響が及んだりしたら、それは月経困難症という病気です」と高橋さん。月経困難症と診断されると保険が利くため、ピルの種類によっては健康保険内で処方してもらえるそうです。

「ピルは子宮内膜を薄くするので、子宮内膜症の発症や悪化も防げます。今は、昔より女性の出産回数が減り生理の回数が多くなったため、子宮内膜症にかかる人や、子宮内膜症が原因のがんも増えています。ピルを飲める人は、痛みがあってもなくても、生理のコントロールや病気の予防のために服用することを勧めます」

ピルと鎮痛剤の効果的な活用法

高橋さんは、生理中におなかが痛くても、鎮痛剤を飲まないで我慢している女性が多いと指摘します。「私が勤務している大学病院では、生理痛で救急車に乗って運ばれてきたけれども、痛み止めの座薬を入れたらよくなって歩いて帰るというケースが多々あります。薬を飲めば対処できるのに服薬していない女性が多いんです。生理痛で鎮痛剤を飲むのは、月に多くても1週間ほど。一時的に頓用で使用する分には悪影響はありません。むしろ生理痛で日常が妨げられるほうがよっぽど悪影響です。鎮痛剤は痛いときはためらわず使ってほしいと思いますね」

飲み方のコツは、痛くなる前に飲み始めることだそう。痛みがピークのときに飲んでもすぐ効くわけではないため、生理が始まって、1日目、2日目と痛くなってくると分かったタイミングで、朝昼晩と時間を決めて飲んでおけば体がぐっと楽になるはずと高橋さんは言います。

 一方で、「痛み止めを飲まなければいけないほどの生理痛は異常だという認識も持っていてほしい」と高橋さん。「生理休暇というものがありますが、私は、ひどい生理痛があることを前提にした制度は問題だと思います。出勤できないほどの痛みは異常です。仕事を休んで耐えるのではなく、すぐに受診しなければいけない状況だという意識を、企業側も本人も持つべきです」

さらに、高橋さんはこう言います。「現在の日本社会や女性の間には、ピルは生理痛や生理不順を整えるという意味で『マイナスの状態をゼロにするもの』という印象が根付いていますが、ピルは自分で生理をコントロールしたりするなど、むしろ生活を快適にする、『ゼロの状態をプラスにするもの』と考えてほしい。体がつらいからピルを服用するという考え方ももちろん大事ですが、生活の質をより向上させるパートナーとしても使ってほしいです」。正しい知識を身につけて、ぜひ積極的に生理に対処したいですね。

高橋怜奈
女医+(じょいぷらす)所属。東邦大学医療センター大橋病院・婦人科在籍。趣味はベリーダンス、ボクシング、バックパッカーの旅。2016年6月にボクシングのプロテストに合格をし、世界初の女医ボクサーとして活躍中。ダイエットや食事療法、運動療法のアドバイスも行う。

(取材・文 川辺美希)

[日経doors 2019年11月20日付の掲載記事を基に再構成]

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