「間違いだらけの」経営改革 企業を壊す100の誤解『経営改革大全』

「間違いだらけの経営改革」を一刀両断
「間違いだらけの経営改革」を一刀両断

激変する経営環境を反映するように、新しい経営モデルが次々と生まれている。流行モデルの中には、誤解されているものも多いようだ。正しく適用しなければ経営改善を阻むどころか、時として会社を壊す結果にすらなりかねない。今回紹介する『経営改革大全』は、理論と実践の両方に精通する一流コンサルタントによる経営学と経営改革の解説書だ。世の中に流布している100の通説を取り上げて、それぞれの間違いを指摘した。本書を通じて、日本企業が強みを生かして成長するためのヒントをつかんでいただきたい。

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名和高司氏

著者の名和高司氏は一橋大学ビジネススクール国際企業戦略専攻客員教授です。東京大学法学部卒でハーバードビジネススクールで修士(ベーカースカラー授与)を取得しています。三菱商事に約10年間勤務した後、2010年までマッキンゼーのディレクターとして約20年間コンサルティングに従事しました。日本、アジア、米国などを舞台に、様々な業界で成長戦略や構造改革といったプロジェクトに幅広く参画した経験があります。その後10年6月に一橋大学大学院特任教授に就任。14年からは30社近くの日本企業の次世代リーダーを交えたCSVフォーラムを主宰しています。また、ファーストリテイリング、味の素、NECキャピタルソリューションの社外取締役を兼任しています。

「通説」と「真説」を対比

まず本書の全体像をお示しします。取り上げるのは100の項目。経営モデルに関連する理論やツールが中心ですが、経営学に限定しているわけでありません。哲学や宗教学、生物学や認知科学など広いジャンルをカバーしています。

各項目には簡潔な見出しがついています。冒頭から順に見ていくと「1.株主から社会へ」「2.現在価値から将来価値へ」「3.短期指向から長期指向へ」……と言う具合です。項目ごとに、前半で一般に流布している「通説」を紹介します。そのうえで後半に「真説」というかたちで著者による正しい理解の仕方を示します。経営モデルの間違いや誤解を指摘して、それらをいかに正しく理解すべきかを説くことが本書の狙いです。

各項目の分量はおおむね4~5ページとコンパクトにまとまっています。必ずしもじっくり時間をとって通読する必要はないと思います。参考書や辞典のような使い方でも十分に知識が身につくことでしょう。

 100項目のうち、関心の高いところを拾い読みしていただいてもいい。通勤途中やちょっとした隙間時間に、サクサク読んでいただけることを心掛けたつもりだ。どの項目にも、筆者の基本的な論点が、ぶれずに盛り込まれているはずである。経営者から学生まで、幅広い世代の皆さんに、手に取っていただければ幸いである。
(はじめに 6~7ページ)
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