絵の次に興味を持ったのが、やはりアメリカ発のロックンロール。エディ・コクランやジーン・ヴィンセントが憧れのスターでありました。

記者会見するザ・ビートルズのメンバー(左から)ポール・マッカートニー、ジョン・レノン、リンゴ・スター、ジョージ・ハリスン(1966年6月29日、東京都内のホテル)=共同

60年代を代表するロックバンド、ザ・ビートルズは音楽だけでなく、髪形でも服装でも若者に絶大な影響を与えました。とりわけジョン・レノンのファッションを語る時、忘れてならないのが「mods(モッズ)」でしょう。

モッズは50年代末のロンドンに突然現れた、先端的な若者風俗でした。一般にモッズという言葉は「モダーニスト」の省略形だといわれています。

50年代末のロンドン。まだ場末だったカーナビー・ストリートに開かれた洋服店「ヒズ・クロウズ」には、襟の大きな花柄のシャツとか、ビロードのズボンといった品々が取りそろえてありました。最先端の割には値段が安く、たちまち大人気となりました。

50年代の噂の一つに、「カーナビー・ストーリートの洋服店に朝早く行けば、失敗作がゴミ箱に捨ててある」というものがありました。当時、ロックンロールを目指す若きミュージシャンたちは、この失敗作を拾って舞台衣裳にしたとも言われています。

その頃、ジョン・レノンは何を着ていたのかというと、ブラック・レザー・ジャケットでした。それが私服でもあり、舞台での衣装でもあったのです。

60年にドイツ・ハンブルクで写された初期のザ・ビートルズの貴重な写真が残っています。着ているのは黒の革ジャンに、黒の細いリバプール・ジーンズとカウボーイ・ブーツでした。

やがてオリジナル曲を歌うようになってからは、ザ・ビートルズの衣装はポール・マッカートニーがデザインしていたようです。たとえば独特の立襟の上着なども、考えたのはポールでした。

1966年6月初来日、東京の日本武道館で公演するザ・ビートルズ=共同

ポールがスケッチを描いて、地元の個人テーラーである「ダギー」に見せて、仕立ててもらっていました。1着平均で30ポンドだったといいます。シャツは地元のシャツ店で作ってもらっていたようです。ところが61年、ブライアン・エプスタインがマネジャーに就いてからは、メンバーの服装は、彼らからすればいかにも「保守的」に思えるスタイルになっていきました。

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