ジョン・レノン 白いスーツ&スニーカーに込めた思い服飾評論家 出石尚三

19世紀の英国からフランスへと広がったダンディズムとは、表面的なおしゃれとは異なる、洗練された身だしなみや教養、生活様式へのこだわりを表します。服飾評論家、出石尚三氏が、著名人の奥深いダンディズムについて考察します。



新型コロナウイルスの感染が世界に広がるなか、ガル・ガドットら20人以上のスターがジョン・レノンの「Imagine」を歌い継ぐ映像が公開され、話題となりました。

いち早くはいた「リバプール・ジーンズ」

1940年生まれのジョン・レノンが凶弾に倒れたのが80年。2020年はジョンの生誕80年目と没後40年という節目にあたります。

ジョン・レノンとは何者だったのか。ロックに芸術を吹きこんだ男。あるいは、ロックをアートに高めた男。そんなふうに表現できるのではないでしょうか。

ジョンは第2次世界大戦のさなか、ドイツ軍の激しい空襲に見舞われていた英リバプールに生まれました。少年期は絵を描くのに巧みであったと伝えられていますが、それとならんで着るものに凝る癖もあったと言われています。

1966年6月、羽田空港に法被姿で降り立ったザ・ビートルズ。手前からポール・マッカートニー、ジョン・レノン、リンゴ・スター、ジョージ・ハリスン=共同

たとえば、ジョンははやくから「リバプール・ジーンズ」をはいていました。リバプール・ジーンズとは、米国製のブルー・ジーンズをまねた、英国製の黒いジーンズのことを指します。リバプールは今も昔も外国船が頻繁に出入りする港町。海外の流行がいち早く入ってくる場所でもあったのです。

THE NIKKEI MAGAZINE 4月誕生!

Men's Fashionはこの4月、あらゆるビジネスパーソンに上質なライフスタイルを提案するメディア「THE NIKKEI MAGAZINE」に生まれ変わります。限定イベントなどを提供する会員組織「THE NIKKEI MAGAZINE CLUB」も発足します。先行登録はこちら