また「腕に何かを装着していると気になって眠れない」という人に人気なのが指輪型の睡眠トラッカーだ。「SLEEPON」は、18年にクラウドファンディングで1000万円以上の売り上げを達成した。本体重量わずか6グラムで、睡眠時間や睡眠段階の分析だけでなく、呼吸休止回数や寝返り回数のリポートも専用スマホアプリで確認することができる。同様の指輪型睡眠トラッカーは、海外のメーカーからもいくつか発売されている。

睡眠データ取得で何が変わる?

取得した自身の睡眠データをどう活用するのか。実際に睡眠トラッカーを導入し生活改善を図っている人たちに話を聞いた。

19年7月から小米(シャオミ)製スマートウオッチ「Mi Smart Band 4」を使い始めた自営業の川野亮さんは、計測される睡眠データが「自分の睡眠実感と一致していて非常にいい精度」と語る。購入直後3カ月ほどは毎朝、前夜の睡眠スコアを確認していたという。今も週に3~4回は見ているとのことだ。

リーズナブルな価格だがメールやSNS通知、心拍数計測と機能は充実

「百点満点で示される睡眠スコアが生活改善の大きなモチベーションになっています。深く寝た自覚があるとスコアを確認したくなりますし、日中に何となく集中力が低く感じられるときにアプリを見ると深い睡眠の時間が短くスコアも低め。やはり睡眠が大事なのだなと納得し、翌日の日中パフォーマンス向上のため22時就寝、5時起床の7時間睡眠を心掛けるようになりました。数値で示されると、『80点以上はとりたい』など明確な目標設定もできます。結果、朝から午前中にかけての活動能力が高まり、新しいことに取り組む意欲も湧いてきます」

都内でコンサルタントとして働く織田一彰さんは、「健康おたく」を自称するほど健康管理意識が高い。3年ほど前からFitbitの「Charge2」を愛用している。運動時と安静時の心拍数のチェックに加え、睡眠状態のトラッキングも導入目的のひとつだった。

Fitbit専用アプリのウイークリーレポート画面

「睡眠状況のチェックは2~3日に1度くらい。Fitbitで睡眠トラッキングを始めてからは睡眠の質向上を真剣に図るようになり、カフェイン摂取の時間帯や量も気にするようになりました。夕方以降はカフェでも『デカフェ』のコーヒーを注文しています。いろいろ実験をする中で、やはりカフェイン摂取や筋トレなど強度の運動が睡眠の質に大きく影響することもわかってきました」。前出の川野さん同様、睡眠の可視化により睡眠の質改善を図ることができ、日中のパフォーマンスが向上したという実感が得られているという。

米シアトル在住の野辺麻子さんは、就寝前にスマホアプリ「SleepCycle(スリープサイクル)」を立ち上げ、枕元に置いて寝るのがここ5年間の日課となっている。米国に移り住んだ後、つい夜更かしして睡眠不足気味となっていた生活を改めたいと考えたのが導入のきっかけだ。今も朝起きるとまず、自分の「睡眠」をチェックする。就寝・起床の時間、睡眠の質、さらにいびきをかいていた時間やどれだけ動いたのかなども数値で示されることで、早めにベッドに入る習慣がついたという。また週ごと・月ごとの分析リポートも見やすく、たとえば深酒しがちな金曜日の夜はいびきや体動も多く、睡眠の質が下がりがちだという自身の睡眠の傾向性も理解できたそうだ。

新型コロナウイルスの対策として、手洗いと咳エチケットに加え、バランスの良い食事と十分な睡眠で体調を整えることの重要性もあげられている。睡眠不足は免疫力の低下を引き起こし、さまざまな病気を引き起こす「万病のもと」だ。

多くの人が睡眠の重要性を認識しているが、実際「自分の眠りがどうなのか」現状が理解できないことには改善もままならない。今回紹介したアイテム以外にも「睡眠の見える化」を実現してくれる製品やサービスはいろいろある。仕事環境の変化などにより日中の睡魔との闘いも増えがちなこの春、睡眠改善にむけての最初の一歩を踏み出してみてはどうだろうか。

(ライター 和田亜希子)

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