「人の得意引き出す力」自負 現場の声聞き共に考える野村アセットマネジメント 中川順子CEO兼社長(上)

「もう一つは人が好きなことです。人の得意分野や強みを見いだすのがうまいです。表面上は見えなくても、意外な人が意外な力を発揮することを経験から学びました。コミュニケーションをとり、社内でネットワークができると、どの部署にどんな人材がいるかが見えてきます。例えばAさんは雑だけど仕事が早い、Bさんは丁寧だけど時間がかかる、とわかるとチームをつくりやすくなります。こうしてリーダーとしての仕事の仕方を体得しました」

――強みがキャリアで生きた経験を教えてください。

「投資銀行部門にいた1999年ごろ、顧客企業が乗り出したグローバルな資金調達を手伝ったときです。米国での株式上場など、担当スタッフ2人だけではとても回りません。そこで、社内の様々な部署からスキルを持った仲間に協力してもらいました。海外拠点の人材も含め、部門を超えたバーチャルなチームをつくったのです」

「それぞれ自分の通常業務をこなしながら顧客企業の資金調達を支えてくれました。この成功はうれしい体験で、自分にはプロジェクトを率いる力があるのだと自覚できました。自分に全ての知識がなくても仲間の知識を使うことで大きなことができると実感したのです」

人の得意分野や強みを見いだすのがうまいと自負する。「表面上は見えなくても、意外な人が意外な力を発揮する」と話す

――いま社長として重視している課題は何ですか。

「貯蓄から投資の大きな流れをどうつくっていくかです。長く言われていることですが、いまだに個人の運用資産に占める投信の割合は4%にとどまっています。これが上向くときは、日本社会の文化が変わるときだと思います。リスク資産の運用に加わる個人の裾野が広がれば、成長資金が必要な企業の役にも立ちます。それを後押しするのは運用会社として社会的使命だと思っています。その役割を果たせなければ企業として存続できないともいえます」

――そのためにリーダーとして何をしていますか。

「運用成績を上げるのは当然として、多くの方に投資を身近に感じてもらうための施策を練るよう社員に働きかけています。その結果の代表例が、積み立て投資を体感できるスマートフォン向けゲーム『つみたてGO』です。投信販売会社や野村証券の支店、学校でも楽しみながら投資体験をしていただけるようになりました。また、投資を学べるアプリ『moneby(マネビー)』もダウンロード数を増やしています。投信の直販はしていませんが、世の中の需要の変化に対応していきます」

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