アイデアよりイメージが大事 持ち寄って正解をつくるクリエイティブディレクター 佐藤可士和(4)

準備するにしても、アイデアを考えるのは大変でも、イメージならそうでもないでしょう。準備のハードルも低くなる。

そして打ち合わせの場を、イメージしてきたことを出し合う場にするわけです。アイデアの一歩も二歩も手前でまったく構わない。方向感でもいい。感触でも感覚でもいい。そういうものを出し合う。そうすることで、いろんなことが言い合えるようになる。みんなのイメージが次第にひとつの方向性になっていく。

これがまさに、みんなで一緒に作り上げる場、そのものではないかと思うのです。

 

僕自身、打ち合わせでいきなりアイデアを出せることはまずありません。持っているのは、イメージです。目指す方向性はどうか。そういう話を繰り返ししていく。

「やっぱり真面目な感じがいいよね」とか「もっとラディカルで、エッジが効いたものにしたほうがいいかも」といったような「イメージ」を吐き出していく。これは、アイデアというものではありません。方向だったり、感触だったり、といったイメージなのです。

会社の話でも、商品の話でも、コミュニケーションとしてのテレビCMでも、こういうことをやっていきます。

ちょっとまだよくわからないけど、とにかく面白いCMがいい、とか、誠実さが伝わるほうがいいと思う、とか、面白くなくても使い方がはっきりと伝わるほうがいいと思う、などといった具合です。

アイデアの一歩手前にあるのがイメージ。アイデアは、ここから一歩、踏み出したところにあるもの。でも、手前の話があるから、アイデアに進めるのです。

面白いCMを作ったほうがいい、となれば、じゃあ、お笑いタレントが出てきたらどうか、などなど。ここからはアイデアになっていきます。

アイデアの手前のイメージを持ってきて、みんなで出し合うことで、アイデアに近づいていくことができるのです。

いきなりアイデアが出なくていい。イメージを出し合う。イメージを確認し合う。大きな方向感を確認していく。それが、価値あるアイデアにつながっていく大事な打ち合わせになるのです。

POINT
▼「アイデア」は重い言葉である
▼まずは「イメージ」をやりとりする
佐藤可士和
撮影:尾鷲陽介
クリエイティブディレクター。慶応大学特別招聘教授、多摩美術大学客員教授。
1965年生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒。博報堂を経て「SAMURAI」設立。主な仕事に国立新美術館のシンボルマークデザイン、ユニクロ、楽天グループ、セブン-イレブン・ジャパン、今治タオルのブランドクリエイティブディレクション、「カップヌードルミュージアム」「ふじようちえん」のトータルプロデュースなど。著書に『佐藤可士和の超整理術』『佐藤可士和のクリエイティブシンキング』など。

佐藤可士和の打ち合わせ (日経ビジネス人文庫)

著者 : 佐藤 可士和
出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 880円 (税込み)

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