在宅でカフェ接客、買い物も アバターロボット広がる

――アバターロボットはどのようなステップで普及していくでしょうか。

「3次元(3D)表示技術やバーチャルリアリティー(VR)のような技術の普及過程が参考になる。3DもVRも、技術の黎明(れいめい)期から30年ほどで興隆期を迎え、そのさらに30年後に本格的な普及期に入った。アバターロボットの場合も、テレイグジスタンスの概念が生まれた1980年代から30年あまりたった現在が、後で振り返ると最初の興隆期だったと言われるのではないか。そのさらに30年後の50年くらいには社会に定着した技術になっているだろう」

――アバターロボットの活躍が見込める有望分野は?

「まず少子高齢化に伴う労働力不足に対応する使い方だ。高齢者がロボットの力を借りて長く働けるようになる。肉親の介護や育児などで家を離れられない人でも、アバターロボットを操って職場で仕事をすることができる。事務作業やミーティングなどは今のテレワークでもできるが、体を動かす作業がアバターロボットによって可能になる。2番目は、危険・過酷な環境での作業を安全な場所から行うという使い方だ。建設現場などがこれに当たるが、他にも化学・製薬企業のように危険な物質に触れないよう防護服を着て作業しているところもある。感染症が流行している地域での医療活動にも使える。3番目はレジャーやエンターテインメント分野。スキューバダイビングとか登山とか、通常は訓練無しではできないことを、アバターの身体や感覚を通じて手軽に体験できるようになる」

――技術的にはどんな課題がありますか。

「アバターロボットは、ロボット技術や、VR技術、通信技術、そして人工知能(AI)技術が統合されて実現している。AIや通信などデジタル技術はかなりの水準に達しているが、まだ不十分なのがロボットハンドだ。ヒトによる細かい手作業をうまく再現するのが難しい。今の産業用ロボットのアームも、特定の作業に特化したもので、人間の手のように様々な作業ができるものはない。アバターロボット用に、人の手と全く同じものを作る必要はないが、もっと機能が高いものを開発しないといけない」

(編集委員 吉川和輝)

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