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ネコ、ついて行っていいですか? 追跡調査の結果は

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ナショナルジオグラフィック日本版

「キャット・トラッカー」という大規模な国際プロジェクトの目的はシンプルだった。ペットのネコが、家の外でどこに行っているのかを調べることだ。

研究者たちは過去にも、自らの足で追跡するか(ご苦労さま!)、ネコの首輪に無線送信機を付けるかして、この難問に挑んできた。しかし、キャット・トラッカーはその規模において際立っていた。6カ国で900匹を超えるネコにGPS装置を1週間装着させ、彼らがどこへ行き、どのくらい広い範囲を動き回っているかを調査したのだ。

調査開始から6年が経ち、ついに結果が2020年3月11日付けで学術誌「Animal Conservation」に発表された。そこで明らかになったのは、ほとんどのネコにとっては自宅の近くが一番らしい、ということだ。

「ネコがあまりにも狭い範囲でしか動いていなかったことに驚きました」と話すのは、論文の筆頭著者で米ノースカロライナ自然科学博物館のローランド・ケイズ氏だ。「大半のネコが、全ての時間を自宅の庭から100メートル以内で過ごしていました」

ほとんどのネコが自然の中に足を延ばしていないとわかったのは良いことだ。それでも今回の調査では、飼いネコが生態系に混乱をもたらし、自分たちの身も危険にさらす可能性があることが判明した。

米スミソニアン保全生物学研究所のネコ専門家で、フロリダキーズ諸島で絶滅が危惧されている小型哺乳類に野良ネコが及ぼす影響を調査したマイケル・コーブ氏は、今回の調査を「大変な功績です」と称賛した。「これほど多くのイエネコに対して、個体ごとに空間生態学的な調査をした研究は他にないと思います。それどころか、どの家畜化された動物種でも、こんな研究は見当たりません」

基本は「なまけ者」

米ノースカロライナ州ダーラム市にすむ長毛で青い目をした1歳のネコ、カットニス・エバディーンは、調査に参加したネコの中では典型的だった。彼女は他の多くのネコと同様、ほとんどの時間を家と、家の裏にある林の中で過ごした。とはいえ、両隣にあるアパート群を何度も訪れたり、家の前にある2車線道路を3回渡ったりもしていた。140メートルほど離れた駐車場まで歩いて行ったことも1度あった。首輪に付けられたGPS装置が3分ごとに記録した位置情報から、彼女の行動範囲がおよそ1.6ヘクタールであることがわかった。

実のところ、カットニスの行動範囲は、ほとんどのネコよりも少し広い。半数以上のネコは、およそ1ヘクタール以内の行動範囲にとどまっていた。

だが、すべてのネコがなまけ者だったわけではない。全体の7%は10ヘクタール以上の範囲を動き回っており、広大な行動範囲をもつ個体も何匹かいた。最高記録の保持者は、ニュージーランドのウェリントン郊外にすむ若いメス、ペニーだ。彼女は家の裏にある丘陵地帯を歩き回り、なんと860ヘクタールもの行動範囲をもっていた。

ペニーの他に際立っていたのは、英イングランド南西部にすむ去勢済みのオス、マックスだ。彼は他のどのネコとも違う動きをした。セント・ニューリン・イーストの村からトレビルソンまでの道路を1.6キロメートル以上も歩き、そして来た道を戻ったのだ。6日間の追跡期間中、なぜ2回もこのような往復をしたのかは不明だ。

こうした大胆な冒険家もいたとはいえ、大多数の飼いネコは、オセロットのような野生のネコ科動物や野良ネコよりも、はるかに行動範囲が狭いことがわかった。理由は明らかだろう。家でエサをもらうので、食べ物を探しに遠くまで探検をする必要がないからだ。また、多くのペットは去勢または避妊手術を受けているので、交尾相手を探す欲求もない。

「食べ物や交尾という動機がないために、ほとんどの飼いネコは自宅の近くで満足のようです」。ケイズ氏はそう話す。

研究者たちは、国によってネコの行動に違いがあるのではないかと予想していた。例えば、米国ではコヨーテが広く生息しているので、ネコは安全な場所からあまり離れないのではないかと推測された。ところが、実際にはどの国でも、ネコはたいてい自宅の近くで過ごしていた。ただ、オーストラリアのネコの行動範囲は、他の国々よりも小さかった。「ネコは世界中どこにいてもなまけ者なんです」とケイズ氏は結論づけた。

他にも、オスの方がメスよりも行動範囲が広いことがわかった。また、去勢や避妊手術を受けていないネコの方が受けているネコよりも、若いネコのほうが老齢のネコよりも、そして地方のネコの方が都市部のネコよりも広い範囲を移動する傾向があった。

外出先でハンターに

近年、ネコが爬虫類や鳥類などの野生生物を減らすことに対して、懸念が高まっている。GPSのデータは、ネコがどれくらい遠くまで行っているかだけでなく、どんな場所を訪れているかを知る上でも役立つ。

国を問わず、約75%のネコはほとんどの時間を、人の手が入った庭などの場所で過ごしていた。一見すると、これは良いことのように思える。テラスと花壇で過ごしているだけのベラちゃんが、どんな問題を起こすというのだろう。

しかし、狩りが特定のエリアで集中して行われることで、地域の野生生物の生息数に桁外れの影響が及ぶ可能性があると、論文は指摘する。最新の調査によれば、米国には約1億匹もの飼いネコがいるという。そのことを考えると、こうした地域的な影響が積み重なることで、全体では甚大になる可能性がある。

「都市部には、開発と生息地の分断化によって、すでに影響を受けている野生生物がいます」。そう話すのは、論文の著者の一人で、米ノースカロライナ州立大学の学部生だった頃に米国でのデータ収集を統括したトロイ・パーキンズ氏だ。

「外にいる飼いネコが増えるほど、地域の野生生物にとってはストレスや殺される可能性が大きくなります」と氏は言う。「絶滅の恐れがある野生生物が近くに生息している場合、ペットのネコが戸外を歩き回ることによる生態学的な影響は、さらに大きなものとなります」

戸外で何をしているのか

飼いネコの約10%が家の庭を出て、ほとんどの時間を自然の中で過ごしていた。森林や湿地をぶらつくネコは、人間が多く住む地域には生息していない生物を狩ることがあるだけでなく、自らが狩られる側にもなりうる。コヨーテやディンゴはネコを食べることで知られている。

調査によって、ネコにとってのもう一つの危険も改めて浮き彫りになった。車だ。ネコたちは6日間の追跡中に平均4.5回、道路を渡っていた。「データを受け取った飼い主の多くは、野生生物への影響よりも、道路を渡っていることについて心配していました」。そう話すのは、ニュージーランドチームのリーダーを務めたハイディ・キキルス氏だ。氏が調査の数カ月後に飼い主たちに連絡を取ったところ、実際に何匹ものネコが車にひかれたとのことだった。

キャット・トラッカーによって、飼いネコたちの外での生活がわかってきたものの、研究者たちが言うには、まだ調べなければならないことは多い。ネコたちが訪れている場所がわかったのは重要な進歩だが、環境への影響やネコ自身にとっての危険性を真に理解するためには、実際に彼らが何をしているのかを知らなければならない。

ネコ目線で動画を撮ることができる「キティカム」(ネコカメラ)を使うのも一つの手だ。チーターが狩りをするときの走行スピードを調べるために開発された技術を借用する手もある。

「現在、ネコの行動、特に狩りの頻度と場所をもっと正確に知るため、より精度の高いGPSと加速度センサーを組み合わせた技術を開発しているところです」とケイズ氏は話した。

(文 JONATHAN LOSOS、訳 桜木敬子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2020年3月17日付]

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