史上最小の恐竜化石 琥珀の中の「あまりに奇妙」な姿

日経ナショナル ジオグラフィック社

2020/4/10
ナショナルジオグラフィック日本版

発見された新種の恐竜「オクルデンタビス・カウングラアエ(Oculudentavis khaungraae)」の頭骨。9900万年前、現在のミャンマーに生息していた。幅3.8センチ未満の琥珀のかけらに閉じ込められていた(PHOTOGRAPH BY XING LIDA)

史上最も小さい恐竜の頭骨が発見された。ミャンマー産の琥珀(こはく)の中に閉じ込められていたもので、大きさは現在生息する最小の鳥と同じくらい、生息時期は9900万年前と見られる。

2020年3月11日付けで学術誌「Nature」に発表された論文によると、後頭部から口先までの長さはわずか1.5センチで、幅は親指の爪ほど。世界最小の鳥、マメハチドリとほぼ同じサイズで、体重は10セント硬貨(約2グラム)より軽かったと示唆される。

今回の恐竜は「オクルデンタビス・カウングラアエ(Oculudentavis khaungraae)」と名付けられた。研究によると、始祖鳥やジェホロルニスに最も近い恐竜だという。これらは獣脚類のうち鳥綱や鳥群の最初期のものと位置付けられており、現生の鳥類とは遠い親戚に当たる。

オクルデンタビスも羽毛の生えた翼を持っていたと考えられるが、さらなる化石がなければ飛べたかどうかはわからない。ハチドリに似てはいるが、花の蜜を餌としていたわけではない。鋭い歯が40本以上も生えた上あごや、獲物を探しやすい大きな目など、他の恐竜にない特徴をもっていた。

「私たちがまったく知らなかった独自の生態的地位(ニッチ)にいました」と、論文の共著者である中国科学院古脊椎動物・古人類研究所の古生物学者ジンマイ・オコナー氏は話す。「楽しいですが、本当に困惑しています。すべてが、あまりにも奇妙なのです」

鋭い歯がたくさん生えていた

論文の筆頭著者である中国地質大学の古生物学者リダ・シン氏は、この化石を初めて見たとき、「奇妙すぎる」と思った。その長い口と大きな目は、初期の鳥だと示唆していた。だが、歯があまりに多かった。長さ0.5ミリ未満の歯が、右上だけでも23本も生えていたのだ。おそらく白亜紀の歯の生えた他のどの鳥よりも多い。

この頭骨をより詳しく調べるため、琥珀片を上海にある高性能X線施設に持ち込んだ。そのX線画像を目にした鳥類型恐竜の専門家オコナー氏は、仰天した。「その化石はまったく元のままで、保存状態がとても良かったのです」と同氏は話す。「本当に完璧でした」

この恐竜の相対年齢を明らかにするため、頭骨の画像を詳細に分析し、動物の成熟度の指標となる骨の融合度合いを調べた。その結果、このオクルデンタビスが死んだのは成体または成体に近い年齢だったと、同氏らは結論づけた。つまり、その小さな体は、より一層珍しいものだということになる。

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