変人と呼ばれてもいい 人生に余計なことする暇はない20代へ80代から伝言(1) 細川護熙氏

あえてバランスを崩すと面白いものができる

西 本当に政治と芸術は密接なんですね。ところで細川さんは今は何を制作なさっているのですか。

細川 大きな作品では、京都の南禅寺や建仁寺、龍安寺に奉納するふすま絵を水墨画で制作しています。同時にオランダのアートフェアに出品する油絵や漆絵も描いています。日本画も描くし彫刻もする。陶芸も続けています。ジャンルをあまり分けていないんですよ。油彩用のキャンバスに銀箔を貼ってから油彩絵の具を重ねて描いて、下から銀箔がちらっと見えてくるのも面白いし、油彩なんだけど一部で墨を使って、かすれ具合を楽しんだり。

アートフェア用に準備している絵は、最初は普通に富士山を描いていましたが、なんだか面白くない。それで、逆さにひっくり返して、湖に富士山が映っている構図に変えちゃいました。そういうふうに途中でどんどん自由自在に変えてしまうこともあります。とらわれないでちょっと遊んでみるのが面白い。

西 細川さんが自由にものを考えられる力は、そのように芸術表現で遊ぶことを通して手に入れたのですか。

細川 そういうわけではないです。子供の頃から天邪鬼(あまのじゃく)だったんです。人が右というと、いや違う左だ、といった具合で、生来あまり素直じゃないのです。陶芸でも、ろくろを速く回して1日に300個作れるような人が上手だと思い違いをしている人がいますが、私はそう言われると逆を考える。ゆっくり回して、あえてバランスを崩すと、光悦の茶わんのように手作り感が出て、面白くなるんです。人と同じことをやっていたら進歩がないですからね。ノーベル賞を受賞した人だってそうでしょう?

西 若いころから芸術に関心があったのですか。

細川 ほとんど関心がありませんでした。若いころは政治家になると決めて、まっしぐらでした。高校の頃に決めて、大学は新聞学科がある上智大学へ。政治家になるには新聞記者になるのが一番の近道だと思ったから、当時は政治家を多く出していた朝日新聞の記者になりました。芸術は60歳で政界を引退してからです。人生、軌道修正はいくらでもできるし、とにかく関心のあることを思いっきりやるのがいい。

西 まさに人生100年時代ですね。

今こそ始める学び特集
学生参加型コミュニティ 登録受付中
メールマガジン登録
注目記事
次のページ
すぐに価値のなくなるものに貴重な時間を費やすな
今こそ始める学び特集
学生参加型コミュニティ 登録受付中
メールマガジン登録