稲垣吾郎さん 朝ドラで見せた、役割を全うする力

組織には、経営陣、上司、先輩、同僚、後輩と多様な立場の人がいます。また、同性か異性かでも立ち位置は違うと思います。もちろん、ダイバーシティー(多様性)が求められる時代ですから、障壁となる線引きをなくし、多様性を生かせる組織を目指すことは大事です。ですが、そうした流れのなかでも、おのおのの現場において役割(ロール)は存在します。一つのプロジェクトで考えても、企画の指揮を執る人もいれば、参謀としてそれを補佐する人もいますし、実際に現場の前線で動く人、さらにはそれをサポートする人など、役割分担がされているからこそチームや組織は機能します。当然、各現場でどの役割を担っているかによって、接する相手との距離や、自身の立ち位置は変わってきます。

自分の役割をいかに果たすか

そう考えると、呼び名が変化する稲垣さんは、グループやチームにおいて、その場に必要とされている役割を見事に果たすことのできる仕事人と言えるのかもしれません。

実際、重要な医師役を演じている『スカーレット』でも、稲垣さんが発するセリフには、言葉の重みや説得力がにじみ出ていました。

3月12日放送の「揺るぎない強さ」にて、主人公の喜美子が白血病を患っている長男・武志の病状について不安になり、主治医である大崎先生と電話でやりとりする場面がありました。稲垣さんの柔らかいながらもしんの強さが漂う声と語り口には、視聴者の心をつかむ圧倒的な包容力と説得力がありました。

自然に大崎先生になりきるその姿は、まさに、その場にいる稲垣先生そのものでした。必要な役割を全うするからこそ、稲垣さんは、稲垣先生に見えたり、稲垣さんに見えたり、吾郎さんに見えたり、吾郎に見えたり、ゴローちゃんに見えたりするのでしょう。

世界的な騒動を迎えているこの時期、いつもと違う新年度のスタートを切りましたが、今の環境のなかで自分が何をなすべきか、自身の役割を見極めながら進んでいくことにより、その先の未来が開けてくるのかもしれません。

新しい地図を描き始めている今後の稲垣さんの役割を拝見しながら、自分自身も、環境が変化しようともその場に必要な役割を全うしていきたいものです。

鈴木ともみ
経済キャスター。国士館大学政経学部兼任講師、早稲田大学トランスナショナルHRM研究所招聘研究員。日本記者クラブ会員。多様性キャリア研究所副所長。テレビ、ラジオ、各種シンポジウムへの出演のほか、雑誌やWeb(ニュースサイト)にてコラムを連載。株式市況番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重TV・ストックボイス)キャスターとしても活動中。近著に「資産寿命を延ばす逆算力」(シャスタインターナショナル)がある。
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