稲垣吾郎さん 朝ドラで見せた、役割を全うする力

稲垣吾郎さんが約2カ月ぶりに「スカーレット」と題して更新したブログが話題になっているようです。稲垣さんは、3月まで放送されていたNHKの連続テレビ小説『スカーレット』で、戸田恵梨香さんが演じる主人公(川原喜美子)の長男(武志)の主治医である大崎茂義先生役を演じていました。

俳優としての確たるキャリア

(イラスト:川崎タカオ)

ネット上では「吾郎ちゃん、大崎先生そのもの」「いろいろな役になりきって、演技力さすが」などと、稲垣さんを称賛する声がいくつもあがっていました。

稲垣さんといえば、SMAPが結成されてすぐに、NHK朝の連続テレビ小説『青春家族』(1989年)で主人公の弟役に抜てきされ、その後、月9ドラマ『二十歳の約束』(フジテレビ系)で初主演を果たして以降は、ドラマ、映画、舞台と様々な作品で、正統派の二枚目から悪役に至るまで多様な役柄を演じ分け、着々とキャリアを築いてきました。

役者としてだけでなく、映画や書籍の評論などにもたけていて、情報番組でもそのセンスの高さは視聴者の知るところです。

情報番組といえば、元SMAPリーダーの中居正広さんが司会を務めるニュース情報番組『中居正広のニュースな会』(テレビ朝日系)のなかで、先日、興味深いやりとりがありました。

急に1カ月半の休みができたらどうなるかという議論を通して、社会学者の古市憲寿さんが「中居さんの代わりに、稲垣吾郎とか呼んだらいいじゃないですか」と発言したのに対し、中居さんが「稲垣吾郎、何で呼び捨てにするんですか! フルネームの呼び捨て、久々に聞きましたよ」と、ほほ笑ましいコメントで返したのです。このやりとりについて、ネット上では、「中居君が吾郎ちゃんに触れていてうれしい」「吾郎ちゃんの呼び名のやりとり笑えた」などと、盛り上がりを見せていました。

メンバーの中で演じる役割

確かに、稲垣さんの呼び名について改めて考えてみると、なかなか興味深い事実に思い当たります。私の記憶の範囲で恐縮ですが、思い起こせば、元SMAPのメンバーのなかで稲垣さんだけが、「四者四様」の呼ばれ方をしていたように思うのです。中居さんは「稲垣さん」と呼び(話の流れでは「吾郎」と呼んだり)、木村拓哉さんは「吾郎」、草彅剛さんは「吾郎さん」、香取慎吾さんは「ゴローちゃん」。

おのおののメンバーからの呼ばれ方、呼び名が違っているのです。この呼び名の違いは、一つのグループにおいて、稲垣さんがおのおののメンバーとの距離の取り方、他のメンバーとの関係性における自身の立ち位置、さらにはその場に適応し得るスキルを持っていたからこそ、生じていたのではないかと感じます。

こうしたスキルを求められるのは、アイドルグループだけではありません。一般的なビジネスシーンにおいても、様々な個性が集合する組織においては、部署や環境に応じて、様々な立場や個性を持つ人との距離をはかり、他者との関係性を臨機応変に築いていく必要があります。

注目記事
次のページ
自分の役割をいかに果たすか