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「人間は不合理な生き物である」という前提に立ち、その不合理な思考や行動のパターンを研究する行動経済学がビジネスの世界で注目を集めている。そんななか、行動経済学ブームの火付け役の一人であり、世界的ベストセラー『予想どおりに不合理』の著者として知られるダン・アリエリー氏(米デューク大学教授)が独自の幸福論を語っているのが、新刊『「幸せ」をつかむ戦略』(日経BP)だ。

行動経済学と聞くと堅苦しいように思えるが、同書は消費から夫婦関係、子育て、従業員のモチベーションまで、あらゆるシーンの「幸せ」についての8つの質問にアリエリー氏がユーモアを交えながら答える形式を取っており、行動経済学の知識がなくてもスルスルと読み進められる。ここでは、そのなかでも多くのページを割いて語られている、「幸せな夫婦関係」を構築するためのアイデアを紹介したい。

「慣れる力」が働かない?

まず「クルマや家などは購入後の愛着が増すように思える一方、人間のパートナーには年々ネガティブな感情が増すように思えるのはなぜか」という質問に対し、アリエリー氏は人間の「慣れる力」が発揮されるかどうかの違いだと答える。

例えば、新しい家に引っ越したとき、戸棚がひどい緑色をしていたとしても、時間がたつと気にならなくなる。しかし、結婚相手の下手な冗談やうるさいいびきといった自分に働きかけてくる行為だと無視し続けることが難しく、どんどん嫌になっていく。これは一切動かないために背景に溶け込んでいくものと、注意を引くために人間が慣れることができないものとの違いだという。つまり、夫婦関係が悪くなるのは仕方がないということだろう。

米デューク大学教授のダン・アリエリー氏

米デューク大学教授のダン・アリエリー氏

では、幸せな夫婦関係を維持するのはどうすればよいのか。アリエリー氏が勧めるのは、「離れる」こと。夫婦が別々のマンションを持つなどし、一人で過ごす時間を増やすことで、週に数日はお互いを恋しく思う機会を作る。離れている時間があるからこそ、お互いを恋しく思えるというわけだ。実際にアリエリー氏の同僚夫婦は仕事の関係で1年間、夫がボストン、妻がニューヨークに住んで週末にだけ会う生活をしていたが、その1年間は夢のような時間だったという。

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