日本企業で女性幹部が増えるには 先端20社の例に学ぶ『女性が共に、さらに輝くということ』著者に聞く

女性リーダーの育成がテーマの企業研修
女性リーダーの育成がテーマの企業研修

日本企業では経営トップや上級管理職として活躍する女性の数がなかなか増えない。大きな会社ほど幹部層は男性中心だ。性別で多様性に乏しいため競争力が高まらないとの見方もある。『女性が共に、さらに輝くということ』(幻冬舎)を出版した人材コンサルティング企業社長のサラ・リュー氏に女性リーダーを育成するための課題を聞いた。

「ジェンダー格差」では後発組

サラ・リュー氏

リュー氏は台湾生まれ。オークランド大学(ニュージーランド)を卒業した後、2012年にオーストラリアで「ダイバーシティー&インクルージョン」(多様性と参画)に焦点をあてたコンサルティング企業「ザ・ドリーム・コレクティブ」を設立した。東京大学に留学した経験もあり、日本では17年から女性のリーダー育成を中心にコンサルティング事業を展開している。

本書には日本で女性リーダーの育成に積極的に取り組む20社が登場する。アディダスやLVMHモエヘネシー・ルイヴィトン、スターバックスといったグローバル企業の日本法人、LIXILグループやサントリーホールディングスなど知名度の高い企業も多い。経営者をはじめ各社で働く78人の男女の声を一冊にまとめた。

世界経済フォーラムが19年末に発表した「ジェンダー・ギャップ指数」を見ると、153カ国中で日本は現在121位。18年の110位から順位を落とした。この指数は社会で女性が活躍している度合いを測る尺度の一つ。日本は歴代首相に女性がいないことや、閣僚レベルや企業の経営幹部に女性が少ないことも、低いランキングの一因となっている。

「日本の大きな会社の経営者と話していると、保守的で変化をあまり好まない印象を受けます」とリュー氏は言う。女性活躍が重要な経営課題だということは十分に理解しているが、具体的な話になると「1年に1人か2人の女性が、新しく幹部になればいい」というような無難な発想が感じられるという。「それでは競争力を維持することはできません」とリュー氏は苦言を呈する。

競争力を高めるヒントは米国企業の盛衰にある。米主要企業「フォーチュン500」社のうち半数あまりがこの20年間でリストから姿を消している。経営破綻や合併、再建などがその理由だ。「生き残った企業になぜ20年間とどまることができたのかを聞くと、一様にイノベーションとダイバーシティーがカギだと答える。そして、この2つの要素は密接に連関しています」とリュー氏は見る。同じ性別、同じ年齢層、同じような教育水準の人材が集まる組織では、同じようなアイデアしか出てこない。経営学修士(MBA)を持っている人は優秀だが、バックグラウンドが同じ集団ではイノベーションは生まれない。ネットフリックス、エアビーアンドビー、ウーバーテクノロジーズなど革新的な会社には多様性が存在する。大きな企業が競争的になるには、より多くの女性を雇うことも有効な手段になるだろう。

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